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ヤブソテツ属は常緑で中型の地上生シダ。根茎は短く直立から斜上し、塊状で鱗片をつける。鱗片は密につき幅が 広く、辺縁は全縁から不規則に切れ込むものまであるそうだ。葉柄にも鱗片があり、葉身は単羽状、頂羽片のはっ きりするものとしないものがあるそうだ。羽片は全縁から微鋸歯縁で深く切れ込むことはないそうだ。無融合生殖型 の種が多いそうである。 オニヤブソテツは葉を叢生し、基部は鱗片を密につけるそうだ。側羽片は7〜18対で、卵状長楕円形、鎌状、先端 は鋭尖頭から尾状に尖り、基部は円形で短い柄がある。無毛で革質、全縁、先端まで鋸歯は無い。頂羽片は小さく 基部近くで羽状深裂する事もあるとある。葉脈は数列以上の網目を作るそうだ。胞子嚢群は円形で、葉裏一面に散 在している。苞膜は円く中心部が黒褐色で辺縁部が灰白色の2色からなり縁は全縁らしい。オニヤブソテツの羽片 の縁は、全縁のものから深く鋸状に切れ込むものまで有るそうだ。包膜は中心が黒褐色をしているが例外もあるら しい。羽片の基部に有る円く膨らんだ耳片は、無いかあっても緩いらしいが、羽片の先端部が全縁になるのは特徴 のようだ。よく庭に植栽し観賞されているそうである。 ●ヒメオニヤブソテツ[C. folcatum (L.f.)C.presl ssp. littorale S. Matsumoto & K.Kanamori, nom. nud.] =海岸の波打ち際の岩場に生育。 ●ナガバヤブソテツ=海岸から離れた所の樹林内や林縁等に見られる。葉質がやや薄く、表面の光沢も弱く、羽 片の幅が狭くなって細長く、基部は広い楔形。葉裏の脈が目立たないという特徴があるが、微妙な物もある。 新葉の表面に長さ0・4〜0・5ミリ程の多細胞の白毛が点々と付くことが多いのも区別点の一つ。 以上の2者とオニヤブソテツの3者は羽片の先端が全縁である共通点を持つそうである。 ●キレハヤブソテツ[C. acutidens Christ]=羽片の辺縁が不規則に切れ込んだもの。 ●ナガバヤブソテツ[C.devexiscapulae Koidz.]=羽片が細長く、基部は広い楔形で両側が同形。 この2者は、共に区別する程の事はないそうである。 出典・参考文献 ●『原色日本羊菌植物図鑑』 田川基二著 保育社 ●『日本の野生植物 シダ』 岩槻邦男 平凡社 ●『神奈川県植物誌 2001 』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ☆花の詩メモ☆ 07・2・28 崖や山などに生えている羊歯のような植物は、私のイメージではどうも陰気過ぎる。私自身は好きでは ない。良く似たヤブソテツもあるが、庭に植栽して観賞するのは普通はオニヤブソテツらしい。すぐ近所の古い民家 で、石を積み重ねたような場所の隙間から垂れ下がっていた。昨日、鱗片の観察をしたが、今一図鑑などと異なる 様に見え、納得出来ていないので、引き続き調べていくつもりでいるが、なかなか同定に至るには難しい。 |
*画像転載禁止*
*向かって左=オニヤブソテツ。右側=ヤブソテツ=影に羽片の鋸歯が写りこんでいる。*
(2段)羽片は細い様にも感じたので、ナガバヤブソテツを疑ったが 基部は広い楔形とは思えない。耳片は然程発達している様には見えないとも思った。 全体に葉は艶艶して光沢がある。羽片の先端辺りが全縁になっている点は互いに特徴の一つ・・・。 (3段)中心は黒褐色のソーラスが沢山出来ている。ところどころ穴があいているのは ソーラスが既に落下した後の様子。羽片には短い柄がある。 (4段)ソーラスを拡大したもの。円形の包膜は楯着し、 側面から粒状の胞子が沢山見えている。包膜が落下したものも見える。 (5段)以下、鱗片に至るまでは、07年になってから観察したものである。 株は04年撮影の上記画像のものと同一か否かは解らないが、同じ場所に生えていたもの。 (6段)羽片の先端はかなり鋭尖頭。縁に鋸歯は無い。 (7段)ソーラスの中心の色はベージュ色の点で、ヤブソテツを疑った。 別の種ではと同定が棚上げになってしまった。裏面葉脈は網目状に見える。 (8段)新葉の展開が始まった。全体に綿毛に包まれている。 ソーラスが見えている。既にこの時点から付いている事を初めて知った。 (9段)向かって右が羽片側。羽片に近い部位の鱗片は披針形である。 画像では、縁の様子が鮮明で無いのが残念。 (10段)根元に近い部位の鱗片。幅は広く表面の色から長ばヤブソテツを疑った。 結局、羽片の基部の耳片の様子からオニヤブソテツと同定した。
(2段)羽片の表面。艶々して光沢がある。耳片が片面発達している。 確かに鎌状に弓なりになっている。 (3段)葉縁には鋸歯や切れ込みは確認できない。 先端は鈍頭になっているのが確認できる。裏面葉脈は網目状。 (4段)葉軸には線状の鱗片がある。葉裏面には白い毛が見えている。 まだ若い葉と思える。短い柄が確認できる。 (5段)03年撮影の上記掲載の画像と、同じ場所に生えていた株であるが 同一のものかは解らない。撮影は05年。 (6段)ソーラスの中心は濃い褐色になりつつあるように見受けられるが 其の後、黒褐色になったか否かは不明である。包膜はベージュ色である。 (7段)03年。05年撮影した場所の株。上記掲載の株と 同一か否かは判らない。07年の撮影。 羽片の表面。耳片が片方円く張り出している。先端は鋭尖頭。全縁になっている。 (8段)羽片裏面。鎌状に曲がっているのがわかる。 網目状になって見える葉脈。 (9段)株もとに近い鱗片の様子。縁は細かい毛があるようである。
(2段)葉の様子。耳片が丸く張り出している。側羽片は鎌状。 (3段)葉縁には波上の鋸歯があるが先端は全縁。鋭尖頭になっている。 表面は艶々と光沢がある。 (4段)葉裏には白い毛が残っている。まだ若い葉と思える。 ソーラスの中心は褐色になっているが、縁はまだ緑色である。 撮影した当時は、葉裏に毛があるという点で同定不能に陥った・・・・。 (5段)『神奈川県植物誌』にある図解と絵合わせしてみると、ソーラスの中心がそれほど大きくなく ヤブソテツのように見える。同定に苦労したが、『日本の野生植物 シダ』の絵合わせに準じた。 同じ場所の観察でも、下記に『ソーラス色々』に掲載したようにソーラスの色がまちまちで 撮影箇所のポイントにより異なる。撮影するも注意が必要であると実感した。
(1段)まだ新葉の羽片の様である。包膜がまだ緑色をしている。 (2段)中心はまだ淡い褐色で黒褐色には程遠い。『日本の野生植物 シダ』 にはこれと似た画像が掲載されているので、同定に至った。 (3段)中心が淡い褐色になっているのは確認できる。この株の中には 中心が黒褐色になっているものは見当たらなかった。 同定にはかなり迷って、3年もお蔵入りとなっていた・・・・。 |
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種別(お) 科別(お) FLORA HOME | Last up date 09・7・19 | 広島県 |
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