アオイスミレ
スミレ科 スミレ属
 
学名 Viola hondoensis W. Becker et H. Boissieu.
 異名 V. hirta L. var. japonica Maxim. f. magis Maxim. in Bull. Acad. Imp. Sci. St. Peterb. 、

アオイスミレは、花期は3〜4月下旬、他のスミレに先駆けて咲き花期が非常に早い。分布は標高100〜800メー
トル辺りに多く、人家の近くや林内の半日陰地や路傍の陽地等にはえ、全体に粗い毛の多いスミレのようである。
茎や根は地下茎が上部ほど節が密で、地下茎は太く短い。多数の地表をはう匍匐茎が出る。匍匐茎は節が疎らで
長いものは10センチ以上になり、ところどころから発根する。発根した先端に新株をつくる。葉は花時には短い地上
茎から根生状の葉を出すが、前年の越冬葉がおおいそうである。花後の葉は長さ幅ともに8センチにも、葉柄は20
センチになるものもあるそうだ。花後の果期の葉は著しく大きくなるので見紛うのは確かである。葉の両面に白毛が
あり、裏面は特に多い。葉縁には低い鋸歯がある。アオイスミレは多年草で地上茎があり、根茎は短く茎は横走し、
殆ど芳香は無い。葉は円形で多毛。若い葉は開く前には両側が巻いている。葉の展開とともに開花する。托葉は披
針形で細長い鋸歯がある。

花は根生状に出すが匍匐茎から腋生するものもある。側弁に僅かに毛がある。花唇弁に紫条があり、距は短く3〜
4・5ミリ、子房はほとんど無毛であるが、閉鎖花の子房は短毛が多くなる。花柱上部は棒状で先は細く、柱頭部が
下向きのかぎ形になる。萼片は狭長楕円形で毛があり鈍頭。果柄は湾曲して下向きになる。刮ハは柄が短く、株の
根元の地表近くに付く。刮ハは暗紫色の斑点があり球形で白く粗い毛が密生している。やや肉質で裂開すると平に
なり普通のスミレ属の様に舟形にはならない。果実の萼には毛が多く付属体はやや半円形か三角状。中には白っ
ぽい淡い紫紅色のものもある。刮ハが地表近くにつき球形で白毛を密生するのが特徴である。種枕が非常に大き
い、種子も大きく2〜2・5ミリ。完熟すると果皮がよじれて割れ、付近にこぼれおちる。他のスミレの様に遠くに飛散
しない。
初夏から夏にかけては、多くの閉鎖花を作って果実をつける。



出典・参考文献
●『原色日本のスミレ』 浜栄助 誠文堂新光社
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館
●『日本の野生植物 草本U 離弁花』 平凡社
●『園芸植物大事典3 3 』 小学館
●『原色日本植物図鑑 草本片U 離弁花類』 保育社
●『山渓ハンディ図鑑 6 日本のスミレ』 いがりまさし 山と渓谷社




☆花の詩 メモ☆


アオイスミレは多年草であるが、さほど大きな株にはなっていない。花は思ったより小さいと感じるし他のスミレの様に
沢山花が咲いていない。果実は株元につき、ちょっと掻き分けて探ると見える。柱頭を撮影してもどうしても先端が
写せないと思っていたが、柱頭が鍵形に下に曲がっているので納得である。花期の終わった株は、ランナーを伸ば
して株を増やして行くのも大きな特徴らしい。茎は地面を横走する。花期の終わった葉は、7センチ前後と見違える
程大きくなる。また、新しく芽生えた葉をみると、短毛が密生し両側が内巻きに巻いている。これらの特徴は、ニオイ
スミレも良く似ている。葉はフタバアオイに似るところから、名付けられたそうである。フタバアオイも追って掲載していく。
NET情報では別名 ヒナブキとある。




*画像転載禁止*



アオイスミレ=06・3・25







(2段)花は1・5センチ程度と小さいと感じる。
柱頭が下向きに曲がっているのは最大の特徴。
左右の画像ともに側弁に毛の無いタイプの様である。
毛の有るタイプもあるそうだ。

アオイスミレ=06・3・25

(3段)距は太い。先端が尖って見えるのは撮影の角度による・・・・。
萼片は5個、先端は尖らず丸みがあり有毛。
萼片の基部にある付属体は全縁の様である。

アオイスミレ=06・3・25

(4段)果実は刮ハ。株元から果柄の先に1個ついている。
果柄、刮ハ、萼片などの毛は良く目立つ。

アオイスミレ=05・9・3





(5段)若い葉の両側は、内側に巻いているのも特徴。若い葉や葉柄は特に毛が密生している。
托葉は鋸歯は無く、縁には毛がある。飛騨r知下に閉鎖花がみえる。

アオイスミレ=06・4・1

(6段)匍匐枝を伸ばしその先に新しい株が出来る。
アオイスミレ=06・4・1

(7段)匍匐枝を引っ張ると、長く細い根が沢山出来ている。
アオイスミレ=05・8・29




(8段)花期の終わった8月末ごろの葉。
驚くほど大きくなっている。大きいものは7センチ前後もある。

アオイスミレ=05・8・29

(9段)葉表。葉縁には丸茂の有る鋸歯がある。
葉は円形に近い。この画像からは判りにくいが短毛がある。
カキドオシの葉にも良く似ている・・・・・。

アオイスミレ=05・8・29

(10段)花期の終わった大きな葉裏。葉脈植えには毛がある。
葉柄にも毛が見える。

アオイスミレ=05・8・29
種別(あ)  科別(す) FLORA  HOME Last up date 07・3・15 広島県




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