サフランモドキ
ヒガンバナ科 ゼフィランサス属
 
学名 Zephyranthes grandiflora Lindl.
 異名 Z. carinata (K. Spreng.) Herb.

サフランモドキは、ジャマイカ、グアテマラ、キューバ、メキシコ原産だそうだ。日本には1845年ころ渡来とのこと。花がサフラ
ンに似ていることからサフランモドキの和名がついたそうである。半耐寒性でこの近辺では露地植えされている物が多い。鱗
茎は大きく径3センチ前後あり、地表に半分以上出ている。葉は根生し平たい線形。長さが15〜30センチ、幅7ミリ前後、緑
色をしているが基部が紅茶褐色帯びている。春から秋にかけてT個の鱗茎から7〜10個の葉を出す。開花は6〜10月頃、花
は6センチ前後と大きい。花被裂片は6裂し桃色をしているが濃い桃色から薄い桃色まであるようだ、筒部は緑色をしている。

花柱は1個先は3裂。細長い雄蕊は6個で、花糸は葯嚢をT字型につけている。

ゼフィランテス属は有皮鱗茎をもつ小球根植物で、耐寒性種と反耐寒性種があるそうである。葉は互生し線状または扁平な
革ひも状。花の寿命は1〜3日だが、次々開花するので花期は長い。開花期は種によって4〜5月開花の春咲き種と6〜9月
開花の夏咲き種があるそうだ。花蕾は先端が2裂する仏炎苞に包まれているそうである。仏炎苞とはちょっと驚いた。花被は
6裂、雄蕊は長短各3個。柱頭は3分岐か3裂する。いずれの種も花芽形成の時期が定まっていないため仮軸分枝を2〜4回
繰り返す。仮軸分枝とは、生長点が花芽になるとその下の葉腋で分枝して葉を形成し、後に再び生長点が花芽になることらし
い。果実は刮ハらしい。
『園芸植物大事典3 小学館』によると、属名の Zephyros=西風の意味や西風の神の意味と Anthos=花の意味に由来。ヨ
ーロッパからみる西半球に自生する植物とも、芳香のある美しい花に因むとも言われるそうである。。


出典・参考文献
●『園芸植物大事典 3 』 小学館
●『園芸植物大事典 2 』 小学館
●『山渓カラー名鑑 園芸植物』 山と渓谷社




☆花の詩メモ☆

04・6・13
サフランモドキと桃色系の花を付けるハブランサスとはよく似ている。実物を見ると違いが判るのだろうが、図鑑等にある写真
だけでの絵合わせによる同定は難儀である。花被片は6個とする図鑑と6裂とする図鑑があるが、6裂と思える。
疑問がある。『山渓カラー名鑑 園芸植物』にサフランモドキと全く見分けの付かない、ハブランサス・ツビスパサス[Habrantー
 hus tubispathus
]として画像が掲載されている。『園芸植物大事典 3 小学館』に掲載されている同種の画像とはどう見て
も別種に見えてしまうから参った。絵面合わせというものは、素人にはとても危険な気がする。NET検索をしてみたが、日本サ
イトに掲載されているものも数件有るには有るが良く判らない。
結局、『園芸植物大事典 3 小学館』の解説と画像との特徴で、花の様子や球根の様子、葉の基部の特徴等から、サフラン
モドキと同定した。『園芸植物大事典 4 小学館』によると、ハブランサス属の葉は常緑とある点でも同定できる。しかし、ハブ
ランサス属の花は斜上し、タマスダレ属(ゼフィランテス)は直立するとある点に拘り過ぎると、同定間違いをしそうな個体は結
構何処にもある。意外に同定するのには厄介な個体もあることを知った。撮影した場所や日時は色々であるが、花期以外の
観察は殆ど出来ていない。
ゼフィランテス(タマスダレ)属には、白い花被のタマスダレ、黄色い花のゼフィランサス・キトリナ(シトリナ)等があるがサフラン
モドキとは葉や花の様子は異なる。ハブランサス類同様、これらも追って掲載していく予定ではいるが。

NET情報によると、雨上がりには特に良く咲くそうで、ゼフィランサス同様レインリリーとも言われている様だ。6月〜9月頃迄
咲くそうだが、初夏に見かける事が多い。03年に一度だけ、10月に咲いているのを見掛けた事が有る。




*画像転載禁止*



サフランモドキ=撮影04・6・13



●田舎道の道路側溝の縁に生えていたもの。以下同一場所での撮影。


(1段)右手の方には、花が斜上して付いているものもある。
斜上した個体だけを撮影していたとしたら、同定を誤りそうである。

サフランモドキ=04・6・13

(2段)花被は6裂。長く突き出た花柱は1個。柱頭は普通3裂。
長い雄蕊は6個、葯も細長い。

サフランモドキ=04・6・7

(3段)雄蕊の花糸は、葯嚢の中間辺りにT字型に付く。
サフランモドキ=04・6・7

(4段)柱頭が3裂したもの4裂、5裂と様々あるが普通は3裂。
サフランモドキ=04・6・7

(5段右)果実は刮ハ。子房下位。まだ若い果実、果実は刮ハ。
(5段上)花蕾。花冠も苞も濃い紅紫色。花蕾は、先端が2裂している仏炎苞に包まれるとある。
(5段下)苞の先が2裂しているのがわかる。長い花筒は緑色帯びている。

サフランモドキ=撮影04・6・10

(6段)有皮鱗茎の様子。2〜3センチの大きさである。
サフランモドキの葉の基部は、画像の様に赤み帯びているのが特徴。

サフランモドキ=撮影04・6・10





●梅畑の縁に生えていた。

鮮やかな紅紫色をしているものに出合った。驚くほど紅色が濃く美しい。
図鑑では花被裂片は鮮桃色とある。この様に濃い色の様だ。

サフランモドキ=撮影04・6・16




●手入れされない畑に生えていた物。

花被が7裂。雄蕊は7個。柱頭は4裂。然も花は斜上して付いている。若しかすると時にはこの様な固体
も有るのかもしれない・・・・・。サフランモドキとハブランサスを一緒に植えてあるとも思えない。個体によ
ってはこのように斜上して咲くものもあるのではないかと思ったり・・・。このよう二いかにもサフランモドキ
なのに、花の付き方はゼフイランサスと言うような個体に出合うと、どちらの種なのか見分けられなくなっ
てくる。あぁ〜、素人は辛い・・・・・。


(1段)つやつやした葉が写りこんでいるが、カヤツリグサの類のもの。
中と左端の花は花筒の部分から斜上して咲いている。
左端の花は花弁が7裂していた。この様な物も時にはあるようだ。

サフランモドキ=撮影04・6・13

(2段)花冠の先が7裂している花を拡大してみた。雄蕊の葯は7個見えている。
然も花冠は斜上して咲いている・・・・。此の花のみ見ると、ハブランサスに見える。
サフランモドキ=04・6・13




●畑に間隔を開けて沢山植えてあったもの。

持ち主さんに許可を得て撮影。実は03・10・19、許可無くこの畑に入り、サフランモドキの撮影をしていて
花泥棒と間違われた事があった。誤解は直ぐに解けたが迂闊だった。其の時に許可を得ていつでも入いっ
て撮影して良いと言ってもらえた。冬の間は葉も無くなり、翌年の6月に再度撮影させてもらった。サフラン
モドキのない時期には別の花が沢山咲いている。



サフランモドキ=撮影04・6・13







(2段)04・6・13 撮影。このころから秋ごろまで咲く物は夏咲き種になるようだ。
奥の方にも咲いているのが見える。疎らに咲いていると華やかさに、ちょっと欠けるかな?・・・。

サフランモドキ=撮影04・6・13

(3段)前年の03・10・19撮影。6月頃から9月頃までは咲くそうであるが、
此の辺りではこの時期まで咲いている物もあるようだ。いつ見ても葉の数は少ない。

サフランモドキ=撮影03・10・19




●知人宅の鉢植え。

知人はナツズイセンといって、鉢毎譲り受けたそうであるが、これは間違いなくサフランモドキ。

(1段)葉の基部は赤味帯びている。
サフランモドキ=撮影07・5・21

(2段)有皮鱗茎をもった球根で、大きさは大きいもので3センチ程である。
サフランモドキ=撮影07・5・21
種別(さ)  科別(ひ) FLORA  HOME Last up date 07・4・17 広島県




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