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クズは大型になり山野、荒れ地、山際、鉄道の土手等で普通にみられるつる性半低木状の多年草。秋の七草のひとつで塊根から葛粉を採る。 茎には粗毛があり、基部は木質で上部は草質である。根には澱粉を蓄えた大きな塊根があり、径20センチにもなり、主根の長さは1・5メートル もある。蔓は10メートルも伸びて他のものに巻きついたり覆いかぶさったりする。茎には開出や反曲する剛毛がある。葉は3小葉からなり両面 ともに有毛で、裏面は短い圧毛が密生し白色にみえる。頂小葉は菱形状円形で3中裂するものもあり、10〜15センチにもなる。側小葉も2〜3 中裂するものもある。毛が密生する托葉は1・5〜2センチの狭卵形で、中央辺りが合着している。花期は7〜9月ごろ。藤の花を逆さまにした様 な紅紫色で、葉腋に総状花序につける。花の香りはブドウの様なほんのり甘い香りがする。白色やトキ色のものもあるそうだ。花序軸は白色の 毛が密生しているが花は無毛。果実は豆果、莢は褐色の長剛毛に覆われている。和名クズはクズカズラの略。 ■タイワンクズ[P. montana (Lour.) Merr.]=奄美以南に分布。頂小葉が卵形〜狭卵形で切れ込まない点で区別できるそうだ。 出典・参考図書 ●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ●『原色日本薬用植物図鑑 全改訂新版 』 木村康一 ・木村孟淳 共著 保育社 ●『原色日本植物図鑑 草本編U 離弁花類』 北村四郎・村田源共著 保育社 ●『日本の野生植物 U 草本 離弁花類』 平凡社 ●『園芸植物大事典 2 』 小学館 ●『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』 山と渓谷社 ☆花の詩メモ☆ 小葉は10センチ以上も有り、浅く2〜3の浅い切れ込みのある3小葉からなる。マメ科と直ぐに判るよう姿である。葉裏面には白っぽい毛が密生。 茎や豆果には黄褐色の毛が密生。這っている茎は延々と長く結構太い。『神奈川県植物誌 2001』に、花はブドウのような香りがするとある。花 を嗅いだ事が無かった。一度試してみよう。『原色日本薬用植物 保育社』によると、根から採取する澱粉をクズデンプンと云うそうだ。ところが市 販品のクズデンプンの多くはジャガイモデンプンであるともある。根の皮を乾燥したものを葛根(かっこん)というそうだ。我が家では葛根湯という風 邪薬はよく使用する馴染み薬である。 クズの根は大きな塊根があるらしい。一度掘り返してみようと思いつつ実行していない。この塊根には、葛餅やクズキリ等を拵えるくず粉が採れる。 くず粉が欲しい訳ではないが、どの様な塊根をしているのか見ておきたい。長く這っている茎は、如何見ても木にしか見えないが。町内の土手にも エノキやムクノキによじ登り、大あぐらをかいている。近くの農業用溜池の高い土手には、一面クズが多い尽くし道路まで這っている。其の近くを歩 くのは、どこか薄気味悪いほどである。然し、花序は藤を逆さまにした様な姿で、色合いも美しいと感じる。豆果は日の光を浴びると、金色に輝き豪 快な毛をまとい荒々しくみえる。 托葉は2種類付いている。葉柄の基部には狭卵型をした托葉の中間あたりの腹側が茎に付いているものと、葉の頂小葉の基部と側小葉の基部に それぞれ細長い小さな托葉がある。 或る日知人が電話をかけて来て、『家の前の土手を這っている、紅色の藤に似た花が咲くけど名前を知っている?』と私に訊ねて来た。彼女の説 明でクズだろうと話すと、彼女は『可愛いい花で気に入った。』 とニコニコしている様子が電話の向こうに見て取れた。 クズには白花の咲く物が有る様だ。シロバナクズ[P. lobata f. leucostachya 異名 P. triloba var. leucostachya ]と言うそうである。 07・9・24 近くの土手では花は終わったが、僅かに咲いている花序を嗅いでみた。何と甘くやさしい香りがする。確かにほんのりとブドウの様な香りであった。 数日前TVを観ていると、広島県山間部で主婦がするお食事処の料理を紹介していた。『クズの花のてんぷら』である。甘くて美味とレポーターが紹 介していた。車で通り抜ける度に土手のクズの花が目に入り、私も一度試しに拵えて見ようと思いつつ結局何もしないまま今に至り・・・・・既にこの 辺りの花は終わってしまった・・・。 |
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(2段左)10〜15センチほどの赤紫色の総状花序。 ほんのりと甘いブドウの香りがたしかにする。 (2段右)毛に覆われた花序の軸。 花柄の付いていた部分は膨らんで、何やら可愛い小動物の鼻に見える。 (3段)他のマメ科とは異なる特徴の雄蕊。 竜骨弁と翼弁を除いた様子。左は黄色の斑模様のある旗弁。 10本の雄蕊は合着し単体雄蕊になっているのがわかる。 (4段)萼は紫色をしている。萼も特徴があり4裂である。 上下が長く、側面は短い。全体に金色帯びた毛がある。 (5段)豆果は扁平。莢は金色に輝く剛毛が覆っている。 熟すと2つに裂けるが、種子は付いたまま莢ごと落ちる。
(1段上)茎には黄褐色の開出毛が覆っている。蔓は右高に巻く。 (1段下)茎には短毛と長い開出毛があるようだ。 (2段)葉柄の基部につく托葉は2センチ程度ある。 表面に褐色の開出毛があり狭卵型をしている。 托葉は中間あたりの腹側が茎に付いている。
(1段)3小葉からなる。小葉は浅く切れ込みのあるものから無いものまである。 全体に葉は大きく、小葉だけでも10センチ以上あるものが多い。 (2段)葉表。先端は尖り、この葉の上部は軽く括れている。 大型の葉をしている。 (3段)葉裏。白く見える。 (4段)葉裏には白い伏せた短毛が密生している。 (5段)若い葉。3小葉のそれぞれの基部には、 線形で5ミリ程度の托葉がある。 |
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