マンサク
マンサク科 マンサク属
 
学名  Hamamelis japonica Sieb. et Zucc.

マンサクは耐寒性のある落葉低木または小高木。若枝や葉柄には星状毛が密生している。葉の両面には星状毛が散
生している。葉は菱形っぽい円形、倒卵円形、倒卵状楕円形で長さ5〜10センチ、幅3〜7センチ程ある。側脈は平行
に6〜7本。基部は歪んだ心形になっている。葉縁には波状の鋸歯があり、先は短く尖るか鈍頭。花の基部の苞葉は広
卵円形で3枚あり萼片より短い。萼片4個は卵形で外側には星状毛が密生し内側は無毛で暗紫色をしている。花弁は4
枚あり細長くよじれている。花弁の色は黄色。開花は早春でここ瀬戸内近辺では2月頃には開花する。山地に自生する
マンサクは花が地味らしい。

マンサク属はアメリカ東部、アジア等に4種分布するそうだ。
『園芸植物大事典 4巻 小学館』によると、Hamamelisはギ
リシャ語の共にという意味のhamaと林檎や果実という意味のmelonに由来するそうである。花と果実が同時に付くことが
属名に因んでいるともある。マンサク属は全体に星状毛があり、托葉は披針形で早落性。花の基部に3枚の苞葉がある。
萼片は4個で果期にも残る。花弁は4枚広線形。雄蘂は4本で萼片より短い。葯は楕円形で2室。各室の横が裂け花粉
を出す。葯は平らで葯壁は伸びない。花柱は深く2裂。刮ハは卵状楕円形で星状毛が密生し2裂する。黒色で光沢のあ
る種子を2個出すそうである。

日本のマンサクは花が地味で、欧米の改良種は花も大きく華やからしい。
●日本産のマンサクは日本全土、広範囲に分布。
 ◆オオバマンサク[var. megaphylla]=葉が大きく関東地方中部以北に分布。
 ◆岡山県産のアテツマンサク[ var. bitchuensis]=生葉でも裏面に星状毛毛が多く残る。中国地方に多く分布。
 ◆葉先の丸いマルバマンサク[var. obutusata]=葉が倒卵円形で先端が丸い。
 ◆アカバナマンサク[var. abutusata f. incarnata ]=マルバマンサクの一型で花弁が赤いもの。
 ◆ニシキマンサク[ var.abutusata f. flavopurpurascens ]=花弁の基部が赤い。
 ◆ウラジロマルバマンサク[ var.abutusata f.discolor]=葉裏が白色帯びる。
●シナマンサク[H. mollia]=花は12月〜1月に開花。花の香りは強く大きな特徴は、開花時には枯れ葉が残っている。
●アメリカマンサク [H. virginiana ]=花は9月〜11月に開花。樹盛が強いので接ぎ木用台木に向く。
●園芸種インテルメディア[ H. japonica x H. mollia]=花は大きく花色も華やかで庭向き。‘イエレナ’等がある。


出典・参考文献
●『日本の野生植物 木本T裸子植物 』 平凡社
●『樹木大図鑑』 北隆館
●『園芸植物大事典 4 』 小学館
●『山渓ハンディ図鑑 4 樹に咲く花 離弁花2』 山と渓谷社
●『山渓カラー名鑑 日本の樹木』 山と渓谷社



☆花の詩メモ☆


03年12月3日。
蕾を写した。山に生えていたのではなく、畑に植栽されていたものである。未だ葉が沢山残っていた。

04年2月16日
2週間が来たので行って見ると葉は既に落葉していたが、未だ蕾が口を開けた程度だった。

04年2月22日
写真の様に開花していた。花弁は線形で長く、花弁の基部は雄蘂と同じ様な少しだけ暗赤色帯びている。撮影した03年
から04年当初は、花や葉裏の毛の具合や萼の毛の具合の見分けが付けられなかった。

7年5月21日
葉に重点を置いて観察したが、やはり図鑑やNETでの情報を、どうしても一致させる事が出来ずにいた。

08年1月4日
一年が過ぎたが未だ同定できずにいた。再度観察してみた。まだ開花はしていない。蕾もまだ堅い。しかも葉は4〜5枚を
付けたままで他は全て落葉していた。あるいはハマメリス・インテルメディアあたりかも知れないと思いつつ、落葉した葉を
虫眼鏡で観察すると、側脈は7〜8対で裏面と脈上には間違いなく短い毛が確認できる。シナマンサクの葉では?とまた迷
いが出る。葉に関して、花期にも葉が残るのが特徴とされているが、03年以来観察している樹の葉は既に落葉してしまっ
ている。葉裏の毛が何年経っても同定できない理由であった。持ち主さんはマンサクと言われていたが、落葉した葉の裏面
や側脈、主脈ともに短毛が確認できる。マンサクについて、冬芽は、星状毛に覆われた芽鱗が落ちずに葉芽を包んでいる
そうだ。そして、古くなった葉の脈腋以外は無毛になるとあるのは、
『樹に咲く花 4 山渓』のみに掲載があった。しかし、私
の観察している木本の葉は、枯葉なっても裏面には毛が残る。ここでも迷ってしまった・・・。

08年1月5日
葉裏の短い毛に惑わされたが結局マンサクとした理由に、冬芽は星状毛に覆われた芽鱗が落ち易く、裸出している点。昨
日の観察時には既に芽鱗に割れ目が出来て、浮き上がっているのを確認できた。しかも07年5月に観察した冬芽は間違
いなく裸出していた。問題は、葉裏の毛が枯れて落葉しても残っている点で、最後までシナマンサクを除外出来なかった。
一月早々の観察の時点で、全ての葉が落葉していた点を重視することにした。

いやぁ〜、同定するのは難しい。ほぼ4年かかってしまった。


画像転載禁止



マンサク=04・2・22







(2段)黄橙帯びた線形の花弁は4枚。
萼片は4個。萼片の内側は暗赤褐色で外側は褐色の毛に覆われている。
雄蘂は4個で、楕円形の葯室は各2室。葯は平らで葯壁は伸びない。
葯室の両脇が裂けて黄色の花粉を出す。4個の仮雄蘂はこの画像からは見えない。
花柱は2深裂している。

マンサク=04・2・22

(3段)蕾が弾けはじめた様子。線形の花弁が奇麗に折りたたまれている。
褐色の星状毛に覆われた萼片は4個。
萼片の下部にある広卵形の苞葉は3個。茶褐色の星状毛に覆われている。

マンサク=04・2・10

(4段)12月3日の様子。
枯れた葉がまだ沢山残っているが、12月末頃には99・9%落葉している。
茶褐色の蕾も目立ち始める。

マンサク=03・12・3




冬芽や托葉

(1段左)08・1・4。芽鱗が割れて落ちかけている。
(1段右)芽鱗(落ちやすい)が落ちて裸芽になっている。

マンサク=08・1・4

(2段)07・5・23。葉裏の脈の様子がうかがえる。
全体に茶褐色の毛と星状毛におおわれている。

マンサク=07・5・23

(3段)本年枝や葉柄には星状毛が密生している。
マンサク=07・5・23

(4段左)托葉が確認できる。
(4段右)托葉が落ちた跡。ほぼ半周する痕がある。

マンサク=07・5・23




葉の様子

(1段)葉には大小入り混じるが、
菱形状円形、倒卵円形、倒卵状楕円形で長さ5〜10センチ、幅3・5〜7センチ。

マンサク=07・5・21

(2段)側脈は平行に6〜7本。基部は歪んだ心形で左右不相称。
葉縁は波状の鋸歯。先は短く尖るかやや鈍い。

マンサク=07・5・21

(3段)同一の枝についている葉の様子。何れも成葉。
左葉表にはまだ星状毛が残っている。右の葉は無くなっている。

マンサク=07・5・23

(4段)葉裏。星状毛と短い毛で僅かに粉白っぽく見える。
マンサク=07・5・23

(5段)4段画像の拡大。綿毛ではない。
マンサク=07・5・23

(6段)枯葉の裏面。毛が残っているのがわかる。
図鑑によっては側脈腋以外は無毛になるとあるが・・・・。
マンサク=08・1・4
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