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ヒシは水深2メートル以下の浅い水中に群生するT属からなる一年生の浮葉植物。 和名の語源は、果実が堅くてひしとか、果実の 形から拉(ひし)ぐの意味とか、葉の形が菱形に由来とする説もあるそうである。 ヒシは溜池や湖沼、水路の淀み等に群生する。水底の泥の中で越冬した果実から1個の線状の子葉を発芽し、数個の幼葉を出す。 浅い欠刻のある沈水葉は狭い線形〜狭長楕円形らしいが残念ながら見たことが無い。水面まで細長い水中茎を1〜2メートル伸ば し、水中茎の各節から葉緑素をもつ一対の長さ5〜10センチの羽状の水中根を出すが、地中に固着する根とは別。浮葉は茎の先 に放射状に叢生。葉は互生し、外側の葉になる程古く葉柄も長くなる。葉柄は紡錘状の長楕円形か球状に膨らみ、内側は海綿質 になって浮きの役目をする。葉の形は卵状菱形〜卵状三角形、葉縁には細かい不揃いの鋸歯が並んでいる。花期は7〜10月頃。 茎頂の葉腋に、花柄のある1センチ程度の小さな白い一日花をつける。日中に開花する。花弁4個で白色。雄蘂は4個、雌蘂は1 個、萼片は4個で花柄とも毛が密生している。花後花柄は伸びて2〜4センチになり、水中に垂れ下がり結実すると離れて沈下する。 黒く熟した果実が、浮かんでいたりするのを見かける。ヒシの花は虫媒花で、花心に密槽があるそうだが、自家受粉で結実するそう だ。宿存する萼は内側2片は脱落し、外側2片の実が変形して先端はやや扁平で鋭く尖り、数個の逆刺を左右に持つ槍状の刺針と なるそうである。果実の突起と変化する。子房半下位で2室、果実になるのは片方のみ。果実は扁三角形で長さは3〜5センチ、厚 みは1・2〜2センチ、果実の内部に1個の無胚乳種子ができる。ヒシ類の果実は、茹でると栗のようにホクホクするそうで食用にな るそうだが、食べたことはまだない。救荒植物として知られ、胃腸薬にもなるとある。 『日本水草図鑑』によると、●イボビシ[T. bispinosa Roxb. var. Makinoa Nakano]=擬角(逆刺のない突起)の著しいものを、分ける見 解もあるそうだが、菱は変異を含めて多型の種として扱うのが妥当とある。 出典・参考図書 ●『日本水生植物図鑑』 大滝末男 石戸忠 共著 北隆館 ●『日本水草図鑑』 角野康郎著 文一総合出版 ●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ●『日本の野生植物 U 草本 離弁花類』 平凡社 ●『山渓ハンディ図鑑 1 野に咲く花』 山と渓谷社 ●『原色日本植物図鑑 草本編U 離弁花類』 北村四郎・村田源 共著 保育社 ☆花の詩メモ☆ 04・10・4 一科一属の一年生草本らしいが、毎年同じ場所にびっしり生えている。03年初めて出合ったのは夕方5時ごろだった。白い1センチ 程の花が綺麗に開いていた。水面までは近寄れず、這い蹲って頑張ったが花の写真は物にならず残念だった。04年別の場所でこ の草本に出会った時は、朝の9時ごろだった。白いつぼみは水面にちょこんと覗いていたが、全く花が開いていなかった。出直して 午後3時ごろ出かけてみると、花は開きかけていたが未だ半開きだった。夕方近くに開き始めるのか、それともすでにしぼみ始めて いたのか?今回は水面の際まで近寄ることが出来た。水面に浮いている草本を手繰り寄せて持ち上げてみた。長い茎には、緑色 の細長い糸状の葉のようなものが有った。図鑑によると根とする説と葉とする説が有るそうだが・・・どう見ても水中の葉状にしか見 えない。葉の特徴は、葉の形や果実の形のそれらは皆≪拉げた≫形。菱形という語源も此処から来ているそうだ。 株を棒で突付いていると、扁平で尖った黒い何やら歪なものが浮いてきた。調べてみるとそれは成熟した核果だった。萼片が変化 した棘のように尖った物が2個有るのがヒシ。棘が4個で葉柄が赤いメビシ。棘が4個で葉柄が緑のオニビシ。棘は4個でヒシより小 型のヒメビシなどが有るそうだが、菱以外の種も一度は見てみたい。 裏返したり引っ張っていると途中で切れてしまった。一株自宅に持ち帰ってバケツに入れている。根っこはあのヒゲ根のような部位 だけ。もう一週間が過ぎたが元気にしている。 07・9・16 あれから2センチ程の種子が出来、05年も無事生えてきた。その時気づいた事が有るのだ。根とは違う緑色の長い糸の様なもの が茎から出ていた。撮影しておこうと思いつつすっかり忘れてそのままになってしまい、結局観察せずじまい。大失敗をしてしまった。 06年には、種子が出来ないまま消えてしまった。図鑑を調べてみると、葉なのか根なのか議論が分かれている部位らしい。 03年にはアカウキクサが湖面を覆い尽くしていた農業用ため池。07年には葉緑素をもった水中根を見ることができた。 |
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(2段)花は1センチほどの白色で一日花。日中開花する。 (3段)雄蘂は4個、柱頭が見える。 レモン色のきれいな葯が弾けている。 (4段)若い果実。 萼片は緑色で披針形4個、花柄とともに毛が密生。内側2片は脱落して外側 2片のみが変形して宿存萼として残る。先端はやや扁平で鋭尖。 数個の逆刺を左右に持つ槍状の刺針となる。果実の突起と変化する。 (5段上)はじめは帯黄緑色。外側の萼片2片の実が変形して 先端はやや扁平で鋭尖で数個の逆刺を左右に持った槍状の刺針に変化する。 (5段下)真上から見た果実。 (6段)外果皮は腐って内果皮が硬化し灰黒色になり、 骨質で堅果を作るそうである。水面に浮いていた。 (7段)葉は卵状菱形または菱状三角形。葉の表面は艶があり毛はない。 葉先に近い葉縁は不整な鋸歯がある。画像の葉の鋸歯は浅めである。 (8段)葉裏は黄緑色で毛がある。葉脈は裏面に隆起している。 (9段上)葉縁の鋸歯は不整。脈の先端には2つの毛(?)が並んでいる。 (9段下) 葉裏の脈は隆起し毛が特に目立つ。葉柄にも毛が密生する。 (10段)葉は外側になるほど古く、葉柄も長くなる。 葉柄は長紡錘型か球状に膨らんで内部は海綿質になっているそうだ。 中心のものは若い果実。花後に花柄が伸びて2〜4センチになる。 水中に垂れ下がって結実したのちに果実は離れて沈下するらしい。 (11段左)水中茎を引き上げようとしたが、2メートル以上あり 結局引き上げられなかった。葉緑素をもった羽状の水中根がある。 根とするのか葉とするのか議論が分かれている部分。 (11段右)葉緑素を持つ水中根を拡大してみた。 |
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種名(ひ) 科名(ひ) FLORA HOME | Last up date 08・7・20 | 広島県 |
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