モッコウバラ
バラ科 バラ属
 別名 スダレバラ、モッコウイバラ
学名 Rosa banksiae Ait. f.  
 異名 Rosa banksiae R. Brown 、R. banksiae var. albo-plena Rehd. 、英名 Bank's Rose 、Banksia Rose

バラ属は大きな属で4亜属に分けられ、園芸的にはその中のバラ亜属。日本には11種と2〜3の変種とその他多くの自然交雑種がある。

バラの地理的分布と染色体数との関係は、染色体の基本数は x=7の倍数、2〜8倍までが知られているが、高次の倍数体は北方の寒
冷地に分布し、倍数が低い程熱帯に近く分布しているそうである。高次の倍数体の方が基本種で、次第に2倍体となり暖かい地方に適す
る様になっていると考えられると『原色園芸植物図鑑 X 保育社』にある。 .ただ、私が思うには我々素人は、染色体数の話になると全く
入り込めない。その辺り迄分かると面白そうである。更に解説は次のようにある。この染色体の1組は、septet と呼ばれA,B,C,D、E
の5組が区別され、(A)は非耐寒性のつる性で温暖な地方に分布。(B)は刺のある小葉を持つ物で極端な乾燥地にみられ、(C)は刺が
多く日本の北部などの海岸近くの寒冷地に分布。(D)はスエーデンや南カナダなどの寒冷地の沼地にあり匍匐枝を出す。(E)はヒマラヤ
や中国の高温多湿に分布し、つるが長くなる特徴がある。其々が形態的、生態的な特徴をもつとある。

モッコウバラの種名は人名に由来。中国中南部原産。江戸時代中期に渡来した。這い上り性の常緑低木で棘はなく無毛。小葉は3〜5
で短柄があり、楕円か長楕円で3〜6センチ、先端は尖る。表面は緑色で光沢がある。葉裏はやや灰色、裏面主脈や葉軸は有毛、中肋
の中部に毛がある。花径は2〜3センチ、花色は白または黄色の八重。開花は4月下旬。染色体は2n=14。白色花には香りがあり、黄
色花には香りがないそうだ。モッコウバラは結実しない。中国には枝に刺があり、結実する白花一重の野生種があるそうだ。
『山渓ハンデ
ィ図鑑 樹に咲く花』
によると、花が白色のものをシロモッコウというとあるが学名の記載はない。こちらの図鑑には、黄色花にも香りがあ
るとあり、名前の由来は芳香があることから付けられたとある。『
原色図譜 園芸植物 平凡社』によると、白花が基本種のモッコウバラ
 [R. banksiae R. Br.] 、黄色花は変種でキモッコウバラ[var. lutea Lindl.] とある。


出典・参考図書
●『原色園芸植物図鑑 改訂版 X 花木編』 塚本洋太郎 保育社
●『園芸植物大事典 4 』 小学館
●『山渓カラー名鑑 日本の樹木』 山と渓谷社
●『山渓カラー名鑑 園芸植物』 山と渓谷社
●『山渓ハンディ図鑑 3 樹に咲く花 離弁花1 』 山と渓谷社
●『原色図譜 園芸植物』 浅山英一著 平凡社





☆花の詩メモ☆


モッコウバラがブロック塀から垂れ下がって咲いていた。2〜3センチの花が密集して見事であった!!しかし、木はバラのイメージとは
ずいぶん異なる。花を掻き揚げてみると、枝や太い幹は団子状態に絡み合っていた。棘はないようだ。
我が家にもシロモッコウの鉢植えがある。母の日のプレゼントに娘から貰った。枯らしてはまずい。花は2〜3輪しか咲かないし貧相であ
る。よい香りがするそうだが、香りを感じたことはない。然もあまりにも身近にあり過ぎて、葉の観察を全くしていない。花が咲いている時
は誰でもすぐに同定できるが、蕾や花が無いと、若しかすると同定は難しいのかな?我が家のシロモッコウも、そろそろ地植えにしようと
思っているが、流石に隣町で見たあの枝や幹を思うと勇気がない。




*画像転載禁止*


●キモッコウバラ

 『
原色図譜 園芸植物 平凡社』によると白花のモッコウバラの変種[ var. lutea Lindl.]とある。

モッコウバラ=撮影 04・4・25






(2段)展開し始めて間もない状態。上記画像の丁度一か月前の様子。
小さな冬芽の中で、葉や花序がこれ程沢山育まれているのかと思うと感心である。
花柄は無毛のようだ。葉裏、脈上、葉柄には白い毛が有るのがわかる。

モッコウバラ=撮影 04・3・25

(3段)萼の内側或いは縁なのかは不明だが、白い軟毛が密生している。
モッコウバラ=撮影 04・3・25

(4段)開花10日前の状態。散房状花序と思えるが一見散形状に見える。
沢山の花序である。花柄の付き方から散形状ではなさそうだ。花柄は無毛である。
花柄、幹、に至るまで全く刺はない。

モッコウバラ=撮影 04・4・15




(5段上)バラ属の葉は互生。奇数羽状複葉。小葉は1〜2対。画像のものは1対。
葉は光沢があり、葉縁は歯牙が沢山あるようだ。
*葉の観察を全くしておらず
ちょっと変わった蜘蛛?を写したものが辛うじてあったので掲載した。


(5段下)左側に写りこんでいるものは花柄の基部。細い線形のものが沢山あるが
托葉と思える。縁には赤い腺がみえる。右側は葉軸。軸上面には溝があり縮れ
た白い毛が密生。赤い小さな粒状の物は腺のようだ。

モッコウバラ=撮影 04・4・15



●モッコウバラ(シロモッコウ)

『原色図譜 園芸植物 平凡社』によると、基本種のモッコウバラになっている。
『山渓カラー名鑑 園芸植物』によると、改良種と思えるが[R. banksiae var. normalis] とある。 

シロモッコウ=撮影 05・5・2






(2段)白色の花は2センチ程度の八重咲き。
シロモッコウ=撮影 05・5・2

(3段左)萼は5個、先端は鋭利に尖り縁には白い軟毛が密生。
(3段右)花柄は毛も刺も全くなく、つるつるである。

シロモッコウ=撮影 05・5・2

(4段)幹に刺は全くない。
シロモッコウ=撮影 05・5・2
種別(も) 種別(し)  科別(は) FLORA  HOME
Last up date 06・4・27 広島県



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