ショクヨウホオズキ
ナス科 ホオズキ属
 別名 ケセンナリ
学名 Physalis pubecens L. var. grisea Waterfall
 異名 P. pruinosa L

ショクヨウホオズキは北米原産の耐寒性が強い一年草、日本への渡来は不明。茎は基部近くより分枝。茎は下位節までよく分枝し地上近く
を這い、枝は広がって斜めに立ち20〜40センチほどの高さに立ちあがる。茎葉に短毛があり、立った毛と腺毛を密生。葉は4〜8センチ、
毛が多く灰色帯びた緑色に見える。葉縁には大小不同の波形の鋸歯があり、基部は著しく左右不同になり歪んだ形になっている。花は葉
腋に単生し、花柄は花時には3〜6ミリ、果時になると1センチ程になる。萼は先が5裂し裂片は細く、花冠は上から見ると5角形で花径1セ
ンチ程。淡いクリーム色で内側に黒紫色の斑がある。雄蕊は5個、雌蕊は1個、葯は長さ1・5〜2ミリ。萼は花後膨れて果実を包み宿存す
る。完熟すると果実は黄色〜淡い褐色になる。花期は夏。果実には、各種ビタミンを含み果実は甘酸っぱさとやや苦みがあるが生食できる。
良く似たシマホオズキ[P. peruviana]よりも甘いそうだ。『神奈川県植物誌 2001』によると、花を見た感じでは、センナリホオズキ[
P. pー
 ubescens
]に良く似ているが、全体に開出した毛が多く腺毛を伴う。しかし、センナリホオズキにも多毛の物があり、区別は葉の鋸歯縁以
外にないとある。学名は従来[P. angulata ]。Waterfall は北アメリカのものは基準標本と少し異なる事から[
P. pubecens ]の変種とする
学名を提唱しているとある。学名の出典。
●ショクヨウホオズキ=全体に開出毛、腺毛がある。葉縁は全体に不揃いでやや大きな鋸歯、歯牙縁がある。葉の基部は左右不同。
●センナリホオズキ=全体に毛や時に腺毛のある点は似ているが、葉縁は全縁または下部の葉に先端の鈍い鋸歯がある。


出典・参考図書
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館
●『原色日本帰化植物図鑑 』 長田武正著 保育社
●『園芸植物大事典 4』 小学館





☆花の詩・メモ☆


04・6・17
花の大きさは1センチ程。草姿は20センチ程しかなかった。全体に開出した毛に覆われている。1本だけ他の花の下に隠れる様に生えてい
た。『是はなあに?』 と訊ねてみると、畑の持ち主さん一頻り考えて『そういえば03年に植えていた。』と言う返事だった。然し、04年は植え
ていないそうだから、熟れた果実から種が落ち、忘れた頃に生えて来たのだろう。繁殖力は、抜群かもしれない。ところで、このショクヨウホオ
ズキの味だが、『ジューシーでフルーティーよ!』と、何とも抽象的な回答を戴いた。兎に角、彼女に言わせると美味しいという事の様だ。

04・10・13
只一つ残念だったのは、熟れた萼の色を見られなかった事だ。緑の萼が膨らんで来ていたので楽しみにしていた。熟したショクヨウホオズキ
も是非見たかったが、其の後の観察は出来ていない。

06・8・22
従来、ショクヨウホオズキは[P. pruinosa ]とされていたが、当サイトでの学名は、
『神奈川県植物誌 2001』を出典としている。

07・6・29
久しぶりに彼女の庭を訪問。ショクヨウホオズキの鉢植えがあった。小さな草本だったが熟して褐色になった果実を見られる時期ではなかっ
た。高さは20センチ程度で葉ばかり茂って見えたが、そっと手を当てて葉を掻き揚げてびっくり。葉の下側に花や果実が沢山あるではないか、
特に果実は10個以上できていた。残念だったのは、葉の基部をもっとしっかり観察しておくべきだったと後悔している。二人でキャァキャァ話が
弾んで観察していなかった。07年の8月以降、仕事の都合で全くカメラ行脚が出来なくなってしまったので余計に感じる。



*画像転載禁止*




ショクヨウホオズキ=撮影04・6・17






(2段)1センチほどの花。紫褐色の斑紋が5こある。
花は黄緑帯びた白色で基部に紫褐色の斑がある。
画像からは見難いが、雄蕊は5個、雌蕊は1個。

ショクヨウホオズキ=撮影04・6・17

(3段)花柄、萼、花弁の裏側には立った長い毛と腺毛が密生。
萼の基部も紫褐色帯びているようだ。
ショクヨウホオズキ=撮影04・6・17

(4段)4ヶ月後の10月中旬、萼が膨らんでいる。中に果実が出来ているはず。
稜が有りほんのりと黒い筋が見える。2〜3センチ程度の大きさだった。
ショクヨウホオズキ=撮影04・10・13




(5段)葉は灰緑色で。ホオズキと然程違っては見えなかったが・・・。
葉縁は全体に不揃いで、やや大きな鋸歯。
肝心の葉の基部を観察していなかった・・・・・。

ショクヨウホオズキ=撮影04・6・17



鉢植え栽培されていたもの。

ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29







(2段)全体に立った毛が目立つ。畑で見た物と同じと思った。
ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29

(3段)萼にも立った毛が密生しているのがわかる。
ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29



(4段)葉の様子。葉の基部は左右相称ではなく不同一になっている。
小さな若い葉の基部は左右相称のものもあるようだ。
葉柄や茎などには立った毛が密生しているのがわかる。

ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29

(5段)萼が虫害に遭って、中から若い緑色の果実が見えている。
ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29







(6段)真上から見た草体。茎は基部から横に広がっている。
紫帯びた茎に白い長い毛が目立つ。花も果実も殆ど見えないが・・・。

ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29

(7段)横に張り出している葉をおもむろに持ちあげると
地面すれすれの茎には沢山の花や果実がなっていた。
大きく膨らんだ萼が鉢の土で汚れているのがわかる。
葉裏の葉脈上の毛もよく目立つ。

ショクヨウホオズキ=撮影07・6・29
種別(し) 科別(な) FLORA  HOME
Last update 07・6・30
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