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ヒリュウシダ属の根茎は短く直立するか僅かに匍匐する。茎を叢生し麟片をつける。鱗片は幅が狭く全縁、辺縁は淡い緑色の膜のある物 が多い。葉は単羽状で無毛、葉質はやや厚い。側羽片の数は多く幅は狭い。普通は全縁である。中肋や羽軸の表面には溝があるが、互 いに流れ込まない。葉脈は遊離又は胞子嚢群では結ばれる。胞子葉と栄養葉が二形になるものもある。二形になる物は胞子嚢をつける 葉の羽片が狭い。胞子嚢群は線形で中肋に沿って長く伸びる。胞膜は中肋の反対側につき中肋側に向けて裂開する。葉が二形にならな いものと、はっきりと二形になるものは別属とし、はっきりと二形になるものをシシガシラ属[Struthiopteris Weiss ]とする事がある。『日本 の野生植物 シダ 平凡社』によると、無理に定義して二つの属を区別するべきとは思われないとある。 ●葉が二形にならない・・・・・ ヒリュウシダ ●葉が二形になる・・・・・・・・シシガシラ、ハクウンシダ、オサシダ、ミヤマシシガシラ シシガシラ[Struthiopteris niponica (kunze) Nakai ]の学名は、シシガシラ属とする見解。常緑性で根茎は太く短く塊状になり、やや斜上 する葉を叢生し鱗片は密についている。根茎と葉柄基部の鱗片は線形で全縁。葉質はやや厚く厚紙質で無毛、暗褐色、先端は尖る。葉身 は単羽状で羽片は数が多く披針形、中央より上で幅が最も広く全縁。長さ40センチ、幅10センチほど。葉は胞子葉と栄養葉の二形ある。 栄養葉は葉柄が短く殆ど基部まで羽片があり30対以上。線形でやや鎌状、鋭頭で全縁、基部は中軸に流れ羽軸の向軸側(表面)に浅い 溝があり、背軸面(裏面)に僅かに隆起している。胞子葉は栄養葉より高く立ち上がる。幅が狭く羽片は疎らにつき幅も狭い。鱗片は細く削 った『削り節』を塗したようにさえみえる。胞子嚢群は胞子葉全ての軸沿いに長く伸びる。日本全土に普通にあるが日本以外にはないそうだ。 『神奈川県植物誌 2001』によると、稀に羽片が鋸歯状になるものがありノコギリシシガシラというそうだ。 出典・参考図書 ●『日本の野生植物 シダ』 岩槻邦男 平凡社 ●『神奈川県植物誌 2001 』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ☆花の詩・メモ☆ シダ植物の種類の多いのには驚く限り。今のところシダ植物には深入りしない方が無難では無いかと思っていたが・・・。 05年3月21日。 春分の日の代替休日。実家のお墓参りに出掛けた。この日は素晴らしく良いぽかぽか陽気だった。お墓参りの後、其れこそ何十年振りだろ う・・・子供の頃以来になるが、近くの山中を散策してみた。子供の頃は、野原も山も遊び場だった。男の子も女の子も年齢も関係なく、一緒 に遊んだものだ。田舎の墓の周りは、大きな墓地とは違い、山に囲まれ静寂そのもの。沢山の植物があるのに、過去一度もカメラを向けた 事が無かった。 未だ小さく、20センチ程度のこのシダが、山縁の崖面に点々と生えていた。殆どが小型だった。山中に入れば、大きく成長しているのかもし れないが。今回も失敗してしまった。初めて写す植物だと言うのに、根元も葉の裏も全く観察して来なかった。写したアングルはどれも同じ。 後悔しきり・・・最悪。撮影した画像では同定は難儀だ。根っこの鱗片を写せば直ぐに同定出来るらしいが。オサシダにも似ているし、シシガシ ラの方が無難にも見えるし・・・どちらか迷う事になってしまった。シシガシラと同定する事にした。一寸いい加減な気もするが。シシガシラであ れば、5月頃になると、胞子葉が立ち上がるそうだ。根元の鱗片が針状に尖り褐色で、栄養葉の羽片の表側には、溝が在るのが特徴らしい。 写真の拡大をしても、羽片の中心に溝が確認できないのが気にはなる。オサシダなら、これらは無いそうだ。 09・3・2 今日はこのサイトのやり直し作業に入った。07年6月に、山の切り立った斜面で少し陰湿な場所にやっと展開し始めたばかりの草体が沢山 生えているのを見た。枯れた葉が一面を覆っている。黄緑色の栄養葉と紅色の胞子葉の対比が、ファインダーから見ていて意外にも綺麗だ った記憶である。其の時の画像を見て気づいた。やはりオサシダとシシガシラを混同して掲載していた。ここに訂正した。然し今もって、なんと なく敬遠してしまい満足に観察できていない。其のうち頑張って観察してみる。実家の墓で見たのはオサシダだった。 |
*画像転載禁止*
*葉の形が二形ある。 紅色帯び、立っているのが胞子葉。緑色のものが栄養葉* (2段)展開し始めた胞子葉。後ろに写りこむのは栄養葉。 下部には羽片はなく、線形の鱗片が密生している。 (3段)展開し始めた胞子葉の拡大。紅色帯び意外に奇麗である。 羽片は狭く疎らについている。この段階では裏面に丸まっているようである。 茶褐色の線形の鱗片が全体にある。 (4段)展開し始めた栄養葉。黄緑色で羽片の先は赤味帯びている。 栄養葉は葉柄が短く基部まで羽片が付いているのがわかる。 葉身は単羽状で披針形、長さ40センチ、幅10センチにもなるそうだ。 右側に3本立っているのが胞子葉。 (5段)羽片の拡大。ふつう30対以上あるそうだ。 線形で先端は尖り、全縁であるがやや鎌の様な形に曲がっている。 羽軸(羽片の中肋のこと)は向軸側(表面の意味)に浅い溝があるのがわかる。 (6段) 葉身の表面の軸にも溝が有り線形の鱗片が見えている。 成葉になっても落ちないようである。 |
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