サボテン・天人団扇
サボテン科 ウチワサボテン属
オプンティア・エンゲルマニー
学名 Opuntia engelmannii Salm-Dyck

オプンティア属の和名はウチワサボテン属ウチワサボテン亜科。サボテン科の中で最大の属の様である。分布域は広く非常
に多様で極小型の伏臥性のものから高木状まであり、茎幹や枝は扁平や円柱状、球状等があり普通は多汁〜木質まである。
耐寒性は比較的強い。刺は裸出、単生、複数か無い事もあるが、小さな芒刺が多数あり、早落性の小さな鱗片状の葉がある。
花は茎節の上部に頂生する。花は無柄で多数花被片があり開出する。雄蕊は多数で花被片より短い。果実は液果で食べら
れるものが多い。

オプンティア・エンゲルマニーの種名は人名に因む。メキシコ北部〜アメリカ南部に分布。高さは2メートル程になり、主幹がな
く低木状になる。茎節は卵形〜円形、径20〜30センチになる。厚肉で淡い緑色をしている。棘座は膨らみがあり、棘は白く基
部は暗褐色で先端が時に黒い。刺座から3〜4個出て、最も長いものは5センチほど、下部の刺座は無刺となる事もある。芒
刺は褐色、花は黄色の大輪で直径9センチほどになる。果実は赤く3・5センチ程度。



出典・参考文献

『サボテン・多肉植物ポケット事典 』 NHK出版
『園芸植物大事典 2 』 小学館





☆花の詩メモ☆



私の撮影した個体の雌蕊の色は緑色。NET検索で調べてみると、単刺団扇の雌蕊は乳白色の様である。 同定するのにとても
迷った。
大事典では雌蕊の色に触れられておらず、オプンティア・ウルガリス(ヴルガリス)園芸名 単刺団扇との区別がつけら
れず随分迷った。刺の点では、私には全く見分けがつかない。1本の部分も3〜4本の部分もあり、こちらでも迷ったが単刺団
扇は名の通り刺は1〜2個という解説に従い、画像のものの縁の部分の刺は3〜4本ある点と、主幹がない点などから天人団
扇と同定した。しかし、確信が持てていない。NET検索でも撮影した画像と一致するもののHITは皆無・・・・。『サボテン・多肉植
物ポケット事典 NHK出版』
に掲載されている天人団扇の画像は、雌蕊の色が緑色で微かに花弁の基部が橙色帯びている。

撮影した画像は、町内の農家のお宅の軒下に植えてある。茎節は30センチ近くある。結構枝を不規則な方向に出すので、道
路の方に飛び出ない様に切り取ってある。鮮やかな黄色の花被片に緑色の柱頭。サボテンの花特有の花被片の先が刺の様
に尖っている。

08年6月中旬の或る日、読売新聞の備後版に、『1メートル近く成長した大きな金鯱に花が咲いた』と、知人の顔写真付きで掲
載されていた。知人がビニールハウス2棟に色々なサボテンが花を咲かせていると誘いがあったので出かけてみた。ハウスの
中は一歩踏み入れただけで気絶しそうな程暑かったが、あまりの品種の多さと巨大なサボテンには、ただただ驚いた。此の中
の殆どは同定できずにいるが、オプンティア属も幾つかある。07年には、サボテンではないがアオノリュウゼツランがこのハウ
スの屋根を突き破り開花したそうである。サボテン類の花はまことに豪華で美しい。見事な花にはすっかり魅了される。この近
所では露地植えをされているが十分越冬している。撮影した天人団扇は1・7メートル程度の大きさである。



*画像転載禁止*



天人団扇=05・3・8
*昨年の赤い果実が残っている。








(2段)花は鮮やかな黄色である。
天人団扇=05・6・22

(3段)雄蕊は花被片より短く多数ある。
緑色の柱頭は先がいくつか(8こ)に裂けている。

天人団扇=05・6・29

(4段)花被片の外側や基部が橙色帯びて見える
天人団扇=05・6・29





(5段)蕾と開花寸前の花の様子。筒状の部分は子房。花柄はない。
天人団扇=05・6・22

(6段)花後は橙色帯びて萎むようである。萎んだ花が脱落した後は大きくへこんでいる。
果実の縁にある棘状のものは、芒刺(ぼうし=glochid )で棘ではないそうだ。
この果実は次第に紅赤色になる。

天人団扇=05・6・29




(7段)茎節は卵形〜円形 で刺は一つの刺座から3〜4個とあると
『園芸植物大事典 小学館』にはあるが、
『サボテン・多肉植物 NHK』には楕円形で長さ30センチとある。
刺については触れられていない。
NET検索でみる外国サイトの画像も、茎節が丸いものが多かった・・・・。

天人団扇=05・3・8

(8段)側面の刺は平面のものより数が多く、3〜4個ある。
単刺団扇と迷ったが、こちらは1〜2本の刺らしい。

天人団扇=05・3・8






(9段)これは福山市の別の場所で撮影した若い茎節。
小さな新しい茎節がたくさん付いていた。
早落性の錐状の葉が刺のように見える。次第に棘も出現する

天人団扇=05・6・29

(10段)主幹はないが、茎節が大きくなって幹の様になっている。
1・5メートル程度で添え木をしてあった。

天人団扇=05・6・29
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