ウチワゼニクサ
セリ科 チドメグサ属
別名 ウオーターマッシュルーム
学名 Hydrocotyle verticillata Thunb.var. triradiata (A.Rich.) Fernald.
 英名 Maysh Pennywort、 Water Pennywort

北アメリカ南部原産の帰化水草。 『日本水生植物図鑑 北隆館』によると、1960年頃熱帯魚とともに輸入されたものが逸出し、水田
周辺の水湿地に群生しているとある。

ウチワゼニクサは水辺に生える抽水性の常緑多年草。在来種のノチドメによく似ている。ウチワゼニクサ(団扇銭草)の語源は、葉身部
が団扇状で、硬貨に似ている事に由来するそうである。1972年大滝末男の命名。ウチワゼニクサは、全草無毛で軟質、根茎は白色で
径3ミリ程の円柱形で泥中を横走する。5〜10センチ間隔にできる節から細いひげ根を多数だし、節から長い葉柄を楯状に直立し1個
の葉を出す。葉は円形で径2〜5センチ、表面(上面)は光沢があり平滑、縁は浅く切れ込み丸みがあり、10前後微小の鈍鋸歯がある。
葉の内部は多孔質。葉裏は光沢が無い。葉脈は中心から放射状に10〜13条ある。葉柄は径1〜2・5ミリ、長さは10〜40。水中に生
えると30センチ以上になる。花期は6〜10月。4〜5月に花柄は葉柄の基部から1個直立。花柄は葉柄とほぼ同長。花輪の離れた穂
状花序。不同長の小花柄数本を2〜3段に輪生し下から順次開花する。小花は白色、小花柄は1〜5ミリ、花径は2ミリ、花弁は5、雄蕊
は5、雌蕊は1で柱頭は2裂、花後軍配状の扁平円形の果実が出来る。果実は長さ2ミリ、幅3ミリ、基部は広い楔形〜切形、隆条は明
瞭な稜になる。分果の中央が著しく窪むのが特徴
である。水槽栽培でよく繁殖するが、寒さ、乾燥にかなり強く繁殖力は強い。また、葉身
部は光に敏感で屈光性が顕著。
『日本の帰化植物 平凡社』
には、別名をタテバチドメグサとしている。


出典・参考文献
●『日本水生植物図鑑』 大滝末男 石戸忠共著 北隆館
●『日本の帰化植物』 清水建美 平凡社
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館





☆花の詩メモ☆


流通名をウオーターマッシュルームと呼ばれる植物には、葉の直径が3センチ程度のものから5〜6センチの大型まで見掛ける。水栽培
ではなく普通に鉢植えでも、水さえ切らさなければどんどん生長繁殖すると知人は言っていた。近所の友人から『これ可愛いでしょう!』と
鉢を見せられた時、『何?この草!』何とも驚いた。何で畔に生えているチドメグサを植えているのかな?と事実そう感じた。可笑しな物で
水栽培されているものを一度目にすると、意外にも彼方此方で目に入るから不思議。あるお宅では、葉の大きさが5センチ程、それ以上
あったかもしれない、葉柄は30〜40センチ以上。まるでキンレンカの葉に見えるほど成長していた。一瞬目を疑った。これほど大きくな
るとは想像していなかった。6月に見た時には丸い葉が一枚辛うじて付いていた。植え替えると一気に生長したそうだ。我が家にも娘が購
入して来たが、その時は、なんでこんなもの?とは感じなかった(笑い)葉縁には緩い切れ込みが在り湾入部分がなく丸い。チドメグサとは
少し趣が違う。5〜6センチに生長した葉はオオバチドメ程もある。ただ若い小さな葉の中には、ウチワゼニクサでは無い様な形もある。


『日本の帰化植物 平凡社』によるとタテバチドメグサは、ウチワゼニクサの別名になっているが、或る掲示板での訊ね花の回答によると、
●タテバチドメグサ [H. vulgaris] は葉裏と葉柄の葉に近い部分が有毛、葉の形がやや歪な丸で、花柄が無い等の点で区別ができると
いうことであった。手持ちの図鑑を片っ端から探したが、残念ながら詳細は全く掲載が無い。早速、我が家にあるウチワチドメグサの葉柄
の部分のマクロ撮影をしてみたが、無毛だった。タテバチドメグサは結局見たことはない。
●ブラジルチドメグサ [H. ranunculoides L.f.] は葉縁が5浅裂しているそうである。驚くべき繁殖力とある。05年6月より施行された外
来生物法・特定外来生物の一次指定された。栽培などは原則禁止となり、既に侵入しているものは防除して行くという規制らしい。NETで
詳細な観察をされているのを拝見した事はあるが、こちらも実物を見た事はない。



*画像転載禁止*



ウチワゼニクサ=06・7・11






(2段)最初はこの発破一つだけだった・・・・。
別の鉢に植え替えたそうである。(3段)以下は、植え替えた後の観察画像。
ウチワゼニクサ=04・5・7

(3段)葉柄とほぼ同長の花柄に、小さな花序を2〜3段輪生する。

ウチワゼニクサ=06・7・8

(4段)小花柄は長短ある。白い花弁は5個。雌蕊は1個で花柱は2個に見えるが、
2裂しているらしい。雄蕊は5個。葯は黄色。扁平な子房下位。

ウチワゼニクサ=08・11・1

(5段)扁平な果実は2分果。基部は切りかたになっているのが多い。
ウチワゼニクサ=06・7・8





(6段)4月末の撮影。此のころはノチヂメにそっくりで、ウチワゼニクサには見えない。
ウチワゼニクサ=04・4・28

(7段)7月初旬の撮影。葉はほぼ丸い形に成長している。
ウチワゼニクサ=06・7・11






08・11・1。掲示板での訊ね花の回答を参考に我が家で撮影したもの。
タテバチドメグサかも、そうあってほしいときっと期待し撮影した気がする [笑]
全くどこにも毛は無い。葉はほぼ円形。葉縁は浅裂、放射状に葉脈がある。

ウチワゼニクサ=08・11・1
種別(う)  科別(せ) FLORA  HOME Last update 08・11・2 広島県




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