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ブレティラ属の和名シラン属。属名のブレティラはブレティアに似ている事からつけられたそうである。ブレティアの属名は人名に因む。 たしかに、似ているとはいえ属名までそっくり!ブレティア(Bletia)属 とブレティラ(Bletilla)属は字まで間違いそうである・・・・。和名の シランは紫色のランの意味。シラン(ブレティラ)属はやや大型の地生ラン。地下にやや扁平な球茎をもつ。葉は薄質で縦じわが多く披 針形。花は総状につく。萼片と側花弁は同形。唇弁は3裂。蕊柱には狭い翼があり、花粉塊は8個とあるそうだ。 ストリアタの和名はシラン。日のあたる湿原や崖上、やや湿った岩上や林内に生える多年草。北海道を除くほぼ全域に分布している。 偽球は少し扁平な円形で地表面に横に連なり、径2〜4センチ程で硬い。葉は新しい偽球茎にのみ新しい葉を2〜3枚付ける。葉は披 針形で4〜5個つく。長さは15〜30センチ、幅5センチ。表面にはしわが多く革質で見た目より薄い。葉の基部は葉鞘で重なる。花茎 は細く堅い。葉鞘の中から長さ30〜50センチの茎を出し、3〜7個の花をつける。開花は4〜5月。萼片と側花弁は狭楕円形、長さは 2・5〜3センチ幅6〜8ミリ。唇弁は倒卵形楔形、中央より基部の側裂片は内曲。唇弁の中央に5条の明瞭な隆起した襞がある。蕊柱 の長さは2センチ程、花粉塊は粘質。果実は長楕円形で短柄があり、長さは3〜3・5センチ。 ●シロバナシラン・・・・白花品 ●フイリシラン・・・・・・葉が白覆輪の種類 ●クチベニシラン・・・・白い花の縁が僅かに紅色帯びるもの 畑土で栽培できるラン科植物は極めて少ないが、耐寒性があり栽培は極めて容易で株分けで増やせる。観賞用に栽培される。『検索 入門 野草図鑑 2 保育社』によると、花も大きくラン科の花の構造を学ぶのによいとある。花をばらばらにしての解説画像があり良く 理解できる。striata =筋の有るの意味だそうだ。この検索入門シリーズ全冊所有しているが、滅多に開いた事が無かった。長田武正 氏の著書は、どれも線画が最高に素晴らしく解り易い。 出典・参考文献 ●『日本の野生植物 T 草本 単子葉類』 平凡社 ●『原色図譜』 浅山英一著 平凡社 ●『原色日本植物図鑑 草本編 V 単子葉類』 保育社 ●『園芸植物大事典 5』 小学館 ●『検索入門 野草図鑑 2 ゆりの巻』 長田武正 保育社 ●『原色園芸植物図鑑 改訂版 U 宿根草編1 』 塚本洋太郎 保育社 ●『山渓ハンディ図鑑 1 野に咲く花』 山と渓谷社 ●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ☆花の詩 メモ☆ 一般に言うシランは紅紫花をしている。フイリシランは葉の縁が細い白で縁取られ濃い赤紫花と付ける。クチベニシランは唇弁の先が、 僅かに紅色で縁取られ、紅を注した感じの花色である。そして白花のシラン等があるが僅かにピンク色を帯びているようにも見える。側 花弁や萼片は大きく3〜4センチ程度、唇弁の側裂片は内側に少し巻き気味で、半円柱形の蕊柱を囲んでいる。ラン科には多いが中裂 片には特に目立った襞がある。『原色日本植物図鑑』による鱗茎の図解は、カタツムリの様な形のものが横に連なっている。現物を見た いが、他所様のものを掘り起こしてまでは見る事は出来ない。それでもおおよそ形が理解できる。ここで掲載しているシランは全て栽培 品である。 04・5・7 近所の知人と二人で近間に散策に出かけた。その時彼女からクチベニシランという名前を教えてもらった。色合いがとてもかわいいと感 じた。 06・12・4 久しぶりに町内の集会所の側を通りかかると、花壇にフイリシランの果実が沢山出来ていた。どの様な形の種子をしているのか、まだ緑 色をしている果実を、稜に沿って割ってみて驚いてしまった。種子は粉の様に見える。何と小さい事。余りにも小さな粒子の様である。想 像だにしていなかった。ユリのような種子を想像していた。まだ余り熟していないせいで、粒子の様な種子は湿り気がある。この時、実は 知人宅のエビネの果実の事が頭を過ぎった。あの果実は既に熟していたのだろう黒っぽかった。莢の部分を触ると、粉がぱらぱらと飛ぶ 様に舞った。この果実は虫に食われて、大鋸屑状態になってしまったのかと勝手に解釈し、自ら観察のチャンスを逸してしまっていたのだ。 後悔しても後の祭り。初めてここで、シランにしてもエビネにしても、余りに小さい粒子の様な種子を持っている事を知ったのだ。 |
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(2段)萼片にあたる外花被片3個と内花被片の側花弁2個は同形で狭楕円形。 長さは2・5〜3センチ、幅6〜8ミリ程らしいが、計測はしていない。 萼片に当たる外花被片は上中央の背萼片1個と左右斜め下に付いている側萼片の計3個。 内花被片は真横に出ている側花弁2個と一際大きい唇弁といわれるものとの3個。 唇弁の先は3裂。中裂片は豪華な襞がある。 唇弁の中央あたりの長さの側裂片は、中央に見えている2センチ程の蕊柱を囲んでいる。 (3段左)紅色の鞘のように見えるのは苞で、開花するとすぐ落ちる早落性。 (3段右)花は互生して付いているのがわかる。花柄のように見える部分は子房。 (4段)蛻の殻の果実。先端が裂開して先端がユリの仲間の様に開かない様である。 果実の稜に沿って割れ目がはいり、種子は粉状で風に飛ばされるのだろう。先端は右側。 隔壁があるように見え。仕切りがあると思っていたが、実際には中には仕切りは無い。
(2段)シランの花と花色だけでは、なかなか見分けはつかないが構造は同じ。 唇弁の先や側裂片の縁は濃い紅色。唇弁は倒卵形楔形。唇弁は3裂。中裂片には、 5条の明瞭な隆起して細かく波打つ襞がある。唇弁中央から基部にかけてある側裂片は、 内曲して蕊中を囲んでいる。蕊柱とは、雄蕊と雌蕊が合生したものらしい。 中央の蕊柱の先端は少し下向きに曲がり、雄蕊の葯がついて、其のそばに小さなくぼみが あるらしい。其の部分が柱頭。葯の中の花粉は、花粉塊と呼ばれる塊らしい。 花粉塊は粘質らしく、塊のまま昆虫について運ばれるそうだ。蕊柱の観察はしていない。 (3段)蕾の様子といってよいと思うが、苞に完全に囲まれている。 この苞は早落性で開花後間もなく落ちる。 (4段)葉は披針形で4〜5個。長さは15〜30センチ、幅5センチ程度らしいが計測はしていない。 フイリシランの葉縁には白い縁があるが、それ以外は他のシランと同じである。 (5段左)葉柄の基部は葉鞘で重なっているが観察ができていない・・・・。 (5段右)表面には折り畳んだ後の様なしわがある。革質で見た目より可也薄い。 (6段)果実。まだ熟したものではないが、稜に沿って割ってみた。中は隔壁はない。 以前蛻の殻の果実を見た時は、隔壁があるのではと思ったが、中は1室のようである。 (7段)種子はユリやギボウシの様な形かと思っていたので驚いた。 微細な胚珠。エビネなどと似ている。成熟した物ではないのでまだ白っぽいが 成熟したものは黒っぽくなるようである。肉眼では粉に見えた。
*唇弁裂片の先端のみが紅色で紅をさしたように見える。
*右側に見えるのは苞。 |
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