シマスズメノヒエ
イネ科 スズメノヒエ属
 
学名 Paspalum dilatatum Poir.in Lam
 異名 Digitaria dilatata (Poir.) Coate , P. pratense Spreng. , P. ovatum Nees et Trin , P. lanatum Spreng.

シマスズメノヒエは、南米原産で世界中の暖地に広く帰化している多年草。日本にも関東以西に帰化しダリスグラス(Dallis grass)といわれ、
牧草として栽培される。
シマスズメノヒエの稈は束生、ほぼ直立し高さは50〜150センチ。根茎は短く叢生する。葉身は10〜30センチ、葉
幅は3〜12ミリ。全体に無毛だが、基部の葉の葉鞘には開出した毛がある。他の葉鞘は鞘の口を除いて無毛。葉舌は2〜4ミリで淡褐色帯
びる。花期は6〜9月。花序は3〜7本の総からなり、長さ5〜9センチ。開出かやや下向きに垂れ、軸の片側に2〜3列に並んだ小穂をつけ
る。小穂には短い柄があり、卵形緑色で先は鋭く尖り長さ3〜3・5ミリ。縁に絹糸状の白色の長毛がある。第1苞頴はなく第2苞頴は花軸側
にあり小穂と同じ長さ。卵型で背面に膨れており3脈がある。不稔生の第1小花の護頴はほぼ同じ。平坦でどちらも縁には長毛がる。稔生の
有る第2小花は小穂よりやや短く広楕円形。護頴は平滑な革質で光沢があり両縁が内側に曲がって同質の内頴を抱いている。熟すと小穂の
基部で落ちる。
柱頭、葯ともに紫褐色。葯の長さは約1ミリほど。



出典・参考文献
●『日本イネ科植物図譜』 長田武正 平凡社
●『日本の帰化植物』 清水建美 平凡社
●『原色日本帰化植物』 長田武正 保育社
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館
●『原色日本植物図鑑 草本編 V 単子葉類』 保育社
●『日本の野生植物 草本T 単子葉』 平凡社





☆花の詩メモ☆


この近辺でもよく見かける植物の一つである。
浅い溝の縁の少し湿り気のある場所から、道路際の畦などにも生えている。小穂が3列〜4列
並んでいる。花序はややうな垂れているのが特徴。小穂の先は尖っており、縁には長く白い毛がある。黒っぽく見えるのは葯や柱頭。ぶらぶら
しているのが葯、ブラシの様な物は柱頭。いずれも紫褐色で離れてみると、一寸毛虫のように見える・・・・。稈、節には目だつ毛は無いようだ。
葉舌が有り葉の口部分にも白い毛があったが、葉の両面ともに毛は無いようであるが触って確かめていない。良く似た花序に、此のあたりで
は水辺でよく見かけるキシュウスズメノヒエ、葉が短く、乾燥地や河川敷にびっしり生えているアメリカスズメノヒエ。草丈が1メートル前後と大き
く、花序も多くその全て立ち上がるタチスズメノヒエ。花序が左右に開き下垂しないスズメノヒエ等が在るが、他のものと見紛う様な事は無い。
しかし、ナルコビエの小穂が熟したころの様子を撮影した際、花序に近い上部の稈に毛が多い点や、花序の基部に毛が無い点等からよく観察
すれば直ぐに区別できる筈であるが、私は熟した小穂にあるぼうぼうの毛を見て、当初はシマスズメノヒエと混同していた・・・。



*画像転載禁止*



近所の水路の際に生えていたもの。04・7・24撮影

シマスズメノヒエ=撮影04・7・24






(2段)波打って見える部分は総の軸。弾けていない葯は赤味のある褐色だった。
手前側は第一小花の護頴側、向こう側のやや大きめの第二苞頴側の間にある
第二小花(見えていない)から柱頭がそれぞれの隙間から覗きかけている。

シマスズメノヒエ=撮影04・7・24

(3段)ブラシ状の柱頭とすでに弾けた葯はいずれも暗紫褐色。
柱頭に黄色の花粉が沢山付着しているのが見える。

シマスズメノヒエ=撮影04・7・24

(4段)総の基部には良く目立つ長い毛がある。小穂の大きさは3〜3・5ミリとあるので
この基部の毛は1センチ前後あることになるが計測はしていない。
花序の軸が扁平で細いのがわかる。

シマスズメノヒエ=撮影04・7・24



隣町の農業用水路の際に生えていたもの。花序が特に長く垂れさがっていた。05・6・29撮影


(1段)普通、総は5〜9センチ程度あるそうだ。開出かやや下垂する。
この画像のものはもっと長く感じた。

シマスズメノヒエ=撮影05・6・29

(2段)花軸の反対側(背軸側で平らな方の側)第一小花の護頴側から見た小穂の様子。
第1苞頴は無い。小穂の縁には絹毛の長毛が生える。濃い緑色の3脈がよく目立つ。
花軸側(向軸面)の第二苞頴は僅かに縁だけしか見えていない。
3個の総の一部がそれぞれ写っているが、一番下の総から第二苞頴の側の膨らみがわかる。

シマスズメノヒエ=撮影05・6・29

(3段)花序の一部の様子。
小穂に短い柄がある。総の軸側にある小穂の柄は短く外側の小穂の柄は長い。
第2苞頴は花軸側にあり小穂と同じ長さ。卵型で背面側に膨れ3脈がある。
第一小花の護頴側は平に見える方。

シマスズメノヒエ=撮影05・6・29

(4段上)花序は3〜6本程度の総から成り、その花序軸は丸ではなく扁平で縁に翼が
あるのをこの画像で初めて知った。一見、総の軸のように見える部分。
(4段下)扁平な花序軸の翼の部分を拡大してみた。

シマスズメノヒエ=撮影05・6・29

(5段)稈や葉身は無毛であるが、葉鞘口部分には長い毛がある。
淡い褐色に見える部分は葉舌で2〜4ミリあるそうだ。

シマスズメノヒエ=撮影05・6・29




山の尾根の道路際にある、少し湿り気のある荒地に生えていたもの。04・9・21撮影

(1段)図鑑には開出かやや下垂とと記載されているが、私の見た花序の殆どは、
お辞儀状態まではいかないが、総だけではなく花序の軸ごと下垂している。

シマスズメノヒエ=撮影04・9・21

(2段)小穂が4列並んでいる。暗黒紫色の柱頭と葯が覗いている。
シマスズメノヒエ=撮影04・9・21




山間部の峠を走る道路わきに生えていたもの。04・8・16撮影

(1段)総は4〜5個のものが多く見られる。
シマスズメノヒエ=撮影04・8・16

(2段)葉身は10〜30センチ程度、葉幅は3〜12ミリ有るそうだが計測してはいない。
この画像には葉縁が波打つ様子が無いが、多少波打っている部分がある。

シマスズメノヒエ=撮影04・8・16

(3段)葉舌は高さは2〜4ミリ。結構目立つ。
シマスズメノヒエ=撮影04・8・16

(4段)葉鞘の部分を拡げてみた図。
どのような役目を果たすのか分からないが不思議な部分である。

シマスズメノヒエ=撮影04・8・16

(5段)葉は無毛だが基部の葉の葉鞘には開出した毛があるそうである。
基部の葉鞘には開出毛があるらしいが観察できていない。

シマスズメノヒエ=撮影04・8・16

(6段)基部あたりの稈の様子。艶々して無毛。節の基部あたりに毛が見えている。
基部の葉鞘部分の開出毛とは別である。

シマスズメノヒエ=撮影04・8・16
種名(し)  科名(い)  FLORA  HOME Last update 09・3・14 広島県



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