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シュロ属の幹は分枝せず直立、残存する葉柄と葉鞘の網に密に包まれている。葉は扇状円形で先は掌状に多裂している。裂片は内折れになる。 葉柄は硬くて太く、断面は倒三角形で縁に刺が並ぶ物が多い。基部の葉鞘の毛は褐色で強靭な繊維質。雌雄異株または雑居性。花序は腋生。 円柱状で長い柄が有り、湾曲して下垂する。花は多数密生して付き、雌株の花序には雌花と両性花がある。雌蕊は3個の心皮からなり、心皮は 離生または半分合着する。花柱は離生して各子房の先に付く。萼片は3個で合着して深い皿状。花弁は3個、萼片より大きく基部で合着。雄蕊 は6個、葯は底着。果実は球形か楕円形の液果。種子は腹面に溝があり、背面に胚がある。 シュロは常緑高木。幹は直立し高さは3〜7メートル、径10〜15センチになる。上部は枯れた葉の葉柄が残存し葉鞘毛で密に覆われている。葉 は扇状円形。径50〜80センチ、扇状に多数に深裂、裂片は線形幅1・5〜3センチ程。内折れで先端は鈍形で浅く2裂。古くなると葉先部分が折 れて垂れさがる。葉柄は1メートル幅4〜5センチになる。基部付近には歯牙と刺状突起がある。花期は5〜6月。葉腋から40〜50センチの大型 の円錐花序を出す。雄花は雄花序のみつき、淡い黄色でほぼ球形。萼片は卵状楕円形。先は鈍形で1・2ミリ程。花弁は3個、広卵形で先は鈍形 か円形で長さ3ミリ、花時にも平開せず直立する。雄蕊は6個、花弁より長く超出、花糸は円柱状。雄花には3個の退化雌蕊がある。雌花序には 雌花と両性花がつく。雌花は淡い緑色、3個の雌蕊、6個の退化雄蕊がある。雌花には両性花もある。花柱は3個子房より短く先は浅く2裂。液果 は扁球形で、長さ10〜12ミリ幅6〜9ミリ。緑黒色に熟す。 出典・参考文献 ●『日本の野生植物 木本U 被子植物』 平凡社 ●『園芸植物大事典 5 』 小学館 ●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館 ●『山渓ハンディ図鑑 5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』 山と渓谷社 ☆花の詩メモ☆ シュロは真っ直に伸びた幹。途中から分枝している物やソテツなどの様に曲がったものは一度も見た事がない。まっすぐで分枝しない点などトウジ ュロとよく似ているが、葉先が垂れ下がりだらし無い葉に見えるところが異なる。この近辺でも、藪や林の中などに大小様々な本種が生えているの が目に付く。 私は、シュロやトウジュロに対して今もって偏見をもっている。トウジュロのサイトにも掲載しているが、敷地裏手などに植え込まれているのを見る と、ふっと思い出してしまう。生まれ育った地域の迷信であるが、≪屋根より高くなるとその家は落日を迎える≫という迷信。広島大学附属福山校 の正面入り口には、10メートルほどもあるのではと思えるようなシュロが植栽されている。学校などには植栽されている所がおおくある。シュロに は、葉鞘に茶褐色の繊維がある。古い葉鞘の繊維はそのまま残ったままである。私が小さい頃まだ掃除機が普及していない時代、父の手作りの シュロ箒を使っていた。私には重くて使いにくかった記憶がある。 シュロのこの繊維にまつわる小学生時代の記憶が蘇る。小学2年生の時である。学芸会という今でいう発表会に、ぶんぶく茶釜という劇のたぬき の役をすることになり、父がシュロのこの繊維を使用して、丹精込めて本物そっくりのしっぽを拵えてくれた。葉柄の部分を曲げてあり、腰紐にぶら 下げる様に出来ていた。ところが、皆は茶色の布で拵えたしっぽを持って来ていたのだ。私としては、一人だけ違うしっぽが嫌で嫌でたまらなかった。 作り変えて呉れるように懇願したが、結局本物のしっぽの様で、すごく良いとかなんとか言い包められて、シブシブそれを腰につけて・・・無事学芸会 は終了した。 あぁ〜、今も昔も子供心というものは全く変わらないなぁ・・・。とつくづく感じる。 |
*画像転載禁止*
*近所の林に生えているもの。まださほど大きなものではなく 高さは2メートル程度と小さい。 (2段)長い葉柄はTメートルに達する。葉が古くなると先は垂れさがるのが同定の鍵。 (3段)近所の荒れ地に生えていたもの。ミツバアケビが絡まり開花している。 雌雄別株であり、雌花とは異なり雄株には雄花序のみつく。 (4段)雄花序の様子。小さな粒の塊のように見える。この一粒一粒が雄花。 (5段)雄花の拡大。まだ花は開花していない状態のもの。2〜3個開花寸前のものが見える。 開花すると花弁は3個、広卵形で先は鈍形か円形で長さ3ミリ、花時にも平開せず直立する。 雄蕊は6個、花弁より長く超出、花糸は円柱状。雄花には3個の退化雌蕊があると図鑑にある。 開花した雄花の観察は出来ていない。 (6段)6月初旬別の場所での撮影。雄花序が枯れた状態で落下せず垂れ下がっていた。 (7段)葉の基部の様子。葉は扇状円形となり径50〜80センチで多数に深裂、 裂片は線形で幅1・5〜3センチあり。内折れとなる。先端は鈍形で浅く2裂。
(1段)雌花の花序。黄緑色の小さな粒の様な花が密に付いている。 この花序には雌花と両性花がついているが、花序の観察は出来ていない。 雌花序には雌花と両性花がつく。雌花は淡い緑色で3個の雌蕊と6個の 退化雄蕊があり花柱は3個。花柱は子房より短く先は浅く2裂しているそうだ。 (2段)約3週間後の6・17日撮影。やっと小さな液果が確認できるようになった。 扁球形で大きさは長さ10〜12ミリ幅6〜9ミリ程になり、緑黒色に熟すそうだ。 (3段)ヤシ科の植物には年輪がないらしい。シュロ属の幹は分枝せず直立、 古くなって枯れた葉は垂れさがり、残存する葉柄と葉鞘網に密に包まれている。 |
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種別(し) 科別(や) FLORA HOME | Last update 09・3・22 | 広島県 |
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