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センノウ属は多年草。葉は平たく全縁。花は集散花序。萼は花後に多少膨らみ円筒形で10脈があり縁には5歯がある。花弁は5個、 下部は細まって爪部になり、舷部は全縁か多裂する。両側に耳状の裂片のあるものもある。口部には1対の付属体がある。雄蕊は 10個、花柱は5個で萼歯と対生。時には4個または2個のものもある。花床は伸びて花柄となる。刮ハは花柱と同数に先が裂ける。 種子は腎形。本属は雄蕊に黒穂菌の一種がよく付き、その胞子が花粉の代わりに昆虫を媒介に広がるそうだ。 マツモトセンノウは山地の草原等に生える多年草。野生種の基本的な花形や花色、花序は記録によるしかなく、本種の野生状態は 不明らしい。茎は直立し50〜70センチになり、全株下向きの毛がある。葉は対生し無柄で長卵形〜広卵形で長さ5〜8センチ、幅 は2・5〜4・5センチ、葉先は鋭尖形で茎部は円形やや茎を抱き、全面毛がある。茎や葉は暗紫褐色帯びる。花期は6〜8月。花は やや密に集散花序につき花柄は短い。萼は円筒形で2・5〜3センチ、脈上部に長い軟毛がある。花は深紅色、オレンジ色、桃色系、 白色や絞り咲きもある。白花種の葉は緑〜黄緑。花弁は5個、舷部は倒卵形で2浅裂し上部の縁には細かい歯牙があり、基部には 2この小鱗片がある。刮ハは楕円形で長さ1・5〜2・2センチ。種子は腎形で小突起があり1・5ミリ程度。 マツモトセンノウはガンピの変種 [ L. coronata Thunb. var. sieboldii Bailey] として扱われる事もある。種小名はシーボルト に因む。マツモトセンノウは現長野県の松本近郊に自生し、草丈30センチ、6月頃に朱紅の花をつけたとされ、また、室町時代より茶 花、立花、五節句、七夕の花として用いられたそうだが、『山渓名前図鑑 野草の名前』によると、マツモトセンノウの原種は、阿蘇山の 草原に生えるツクシマツモトと言われていたが、ツクシマツモトには紫帯びたものが無いという事から、その説は否定されたそうだ。松 本幸四郎の紋説、松本市の自生説等、諸説いわれている様だが、それらは全て否定されたとある。その後の調査で中国華北省や朝 鮮半島に分布する『センレツセンシュウラ』と同一であることが判明。この渡来種を広めたのが信濃国松本で『マツモト』がついたとある。 出典・参考文献 ●『日本の野生植物 草本U 離弁花』 平凡社 ●『山渓カラー名鑑 園芸植物』 山と渓谷社 ●『山渓名前図鑑 野草の名前 夏』 山と渓谷社 ●『園芸植物大事典 5』 小学館 ☆花の詩・メモ☆ マツモトセンノウは耐寒性多年草。絶滅危惧種となっているらしい。園芸種は多く出回っている。撮影した画像のものは、当然ながら園 芸種である。花弁の先が浅く裂け、花弁の横に爪がある。全体に下向きの毛で覆われているのがわかる。葉の裏、萼筒、茎など紫帯 びているのが特徴。茎、萼などには下向きの毛がある。花径は5センチ弱あり大きな花の印象が残る。白花も見かけた。同属のガンピ と花の大きさも良く似ている。葉の裏、萼筒、茎などが紫帯びず緑色のものを『ツクシマツモト』というそうだ。白花品について、図鑑でもN ET検索でもシロバナマツモトセンノウの種名、学名の記載がないので、マツモトセンノウ白花品に訂正した。 |
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(2段)深紅の花径は5センチ弱。花弁の先端は浅い切れ込みでハート型。 花弁の両横には爪と呼ばれる細い裂片が特徴。雌蕊は5個、雄蕊は10個。 (3段)苞や萼の色は紫褐色で萼の脈上には長い毛が密生している。 (4段)紫褐色帯びた茎、深緑色の葉には毛が密生している。
(1段)萼筒に10脈があるのは特徴。脈に沿って長い毛がある。 (2段)茎、葉にも毛が密生しているのが見えるが、この個体は茎や苞など殆ど褐色帯びていない。 一瞬『ツクシマツモト』なんて思ってしまった…が個体差かもしれない。
(1段)白花のマツモトセンノウ。 (2段)雄蕊は10個、葯はベージュ色。花柱は5個。萼筒の中から出ているのがわかる。 雄蕊は萼筒の側面から出ているのがみえる。 (3段)萼、苞、葉、茎は明るい緑色をしているが、全体に毛が密生しているのは同じ。 |
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Last up date 06・10・7 | 広島県 |
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