シロバナサクラタデ
タデ科 イヌタデ属
 
学名 Persicaria japonica (Meisn.) H. Gross
 異名 P. japonicum

シロバナサクラタデは雌雄異株の多年草。地下に這う茎があり、茎は60〜100センチになる。良く分枝し無毛で乾くと赤褐色になる。
葉は披針形、鋭尖頭、基部は楔形、7〜16センチ、幅1〜2センチ程度で、両面に短毛があり脈上や葉縁に伏し毛がある。托葉鞘
は長い筒状で長さは1〜2・5センチ、長い縁毛は約1センチ。節は膨れてくる。花期は8〜11月。花序は総状花序につき疎らな穂
状になり、花序枝は1〜5本あり先は垂れ下がる、4本のものが多いそうである。サクラタデの花序よりは多い。花被は白色で5裂し
腺点があり、花被の長さは3〜4ミリ。雌花は雌蕊が長く雄蕊が短く花柱は2〜3裂。雄花は逆に雄蕊が長く雌蕊が短い。痩果は3
稜型〜レンズ型で光沢のある黒色。
白色の花を付けるサクラタデの白花品[P. conspicua f. albiflora ]は、シロバナサクラタデと
は別種だそうである。
『園芸植物大事典 3小学館』によると、タデ属 Polygonum の意味はギリシャ語でpolys=多くと、gony=ひざに由来し、タデ属の多
くは膨れた節を持つことに因むとある。当サイトではイヌタデ属として分類しているが、1989年発刊のこの図鑑にはPersicaria は
サナエタデ属とある。


出典・参考図書
『原色日本植
物図鑑 草本編U 離弁花類 』 保育社
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館
●『日本の野生植物 草本 U 』 平凡社
●『園芸植物大事典 3 』 小学館




☆花の詩 メモ☆

サクラタデは花柱は3裂、花被片に腺点が有り、花の大きさが異なる点は計測すれば良い事で、私の実感として両方の草体を確認
できていればその違いは一目瞭然。但し、花序がなければ、自信の程は危ういが・・・・。
●花序枝は1〜5本。4本のものが多いとある。確かに花序枝が4〜5本あるとサクラタデよりやぼったくみえた。私は、この花序枝を
  同定のポイントとして重視した。
●シロバナサクラタデの痩果は黒色でレンズ形と3稜形で光沢が強いとある。サクラタデの痩果は3稜型の黒色で、光沢が少ないらし
  いが、どちらもまだ観察した事が無い。同定の重要なポイントになる。
●葉は披針形。葉身は大きいものは15センチ前後も有り、幅は広いもので1・5〜2センチ前後。サクラタデは細く、シロバナサクラタ
  デの葉は大きく感じた。生葉の先端は鋭利に尖り基部は楔型。脈上には毛があり、葉縁にも伏せた毛が並んでいる。
●托葉鞘は15ミリ前後と長く、縁毛も10ミリ以上と長い。一つの草体の中でサクラタデの様に筒に短く粗い剛毛がある鞘と、毛が目
  立たず脈だけが見える物もあり、沢山の草体を観察しておかないと同定に難儀するかもしれない。

07・8・27
根茎が地中で這っている。サクラタデ同様引き抜こうとすると抜けずに切れてしまう。花被は白色で花径が4ミリ程度、花序枝が2〜3
本のものもあるが、4〜5本出ているものが目立つ。4〜5本のものは、花序が詰まって見えた。全ての花序を確認した訳ではないが、
確認した花序はどれも雄花序ばかりであった。市街地の側溝一面に生えていた。花序はサクラタデの様に長く、シロバナイヌタデとは
明らかに異なる。花被は5裂、花被片の腺点は少ないそうである。疎らにある腺点を確認できた。

07・10・28
シロバナサクラタデを見つけた後に、サクラタデの生えている場所を再訪してみた。明らかに花の大きさが異なる事を実感した。サクラ
タデは一回り大きく、花序も優美である。私の観察した草体のシロバナサクラタデの花序は、サクラタデより花が小さく沢山付き、花序
枝も多くサクラタデに比較してどちらかというと少し重苦しい花序に思える物が多いと感じたが、葉はサクラタデより、葉身、葉幅ともに
若干大きい様に感じた。ここまで来ると、やはり痩果の観察が重要になってくる。




*画像転載禁止*


右側に見えるのはアケビ。
10月の下旬には、すべて刈り取られていた。

シロバナサクラタデ=07・8・27





(2段)雄花序。穂状花序がすつきりとしたものもある。
花柄は、赤味帯びたものから黄緑帯びたものもある。
同定の対象にはならないようだ。

シロバナサクラタデ=07・8・27

(3段)花序が4本出ている。花が密に付くものもある。
シロバナサクラタデ=07・8・27

(4段)花序が右下に1本。左下に向かって2本。上部で2本と
全部で5本の花序がある。

シロバナサクラタデ=07・8・27

(5段)雄花。長い雄しべが7本見える。雌蘂は短い。
じっくりと目を凝らすと、左の花被片に疎らに腺点が見えている。

シロバナサクラタデ=07・8・27



茎、托葉鞘

(1段)茎は無毛。節が膨らんでいる。
左端の托葉鞘の筒部には短い剛毛が見えないが、
右側の托葉鞘には短かく基部の太い毛が見える。
先端の縁毛は長い剛毛である。
一か所の観察では同定を誤ってしまいそうである。

シロバナサクラタデ=07・8・27



葉の様子

(1段)葉は広く大きく感じた。市街地の側溝いっぱいに生えていた。
細い花序の蕾が出ている。

シロバナサクラタデ=07・8・27

(2段)葉はこの画像で15センチ。
葉幅は2センチ基部は楔形。先端は鋭尖頭。

シロバナサクラタデ=07・8・27

(3段)葉縁、葉脈に毛がある。葉縁には毛が並ぶ。
腺点が良く見える。

シロバナサクラタデ=07・8・27

(4段)葉裏の主脈の伏せた毛。葉柄は短い。
基部は楔形となっている。

シロバナサクラタデ=07・8・27
種別(し)  科別(た) FLORA  HOME Last update 08・1・13 広島県





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