ヤマフジ
マメ科 フジ属
別名 カピタン
学名  Wisteria brachybotrys Sieb. et Zucc

ウイステリアの和名はフジ属。属名は人名に因む。フジ属は日本には2種が自生。落葉蔓性木本。葉は奇数羽状複葉で互生する。小葉は
有柄、托葉は早落性。花は紫、白、青紫色などで頂生する総状花序につき下垂する。萼は広鐘形で先は5裂する。花冠は蝶形、旗弁は大
きく外曲し、翼弁は鎌形で基部に耳形の付属物がある。竜骨弁は鈍頭。雄蕊は10個、内9個は合生して2体雄ずいになる。果実は有毛で
長い扁平な豆果で裂開する。種子は数個。

ブラキボトリスの和名はヤマフジ。本州西部、四国、九州に分布する蔓生落葉木本。蔓の巻き方は右巻きに登っていく。小葉は9〜13個。
狭卵形で鋭尖頭、基部は卵形、葉縁は全縁。長さは4〜7センチ、幅1・5〜3センチ。両面褐色の短毛が密生、成葉の裏面には伏毛が残
る。早落性の托葉は8ミリほどの線形。花は紫色で開花期は4〜5月。花序はフジより短く長さ10〜20センチ、フジに比べてほぼ同時に開
花する物が多い。フジ花序が長く、基部から先端に向かって咲いていく。旗弁は径2〜2・5センチと大きく、ほぼ円形で凹頭、基部に短い爪
がある。萼は鐘形で長さは4ミリ程度、先端は5裂、一番下の裂片が一番長い。果実は豆果、長さ10〜20センチで短毛が密生する。花序
が短いのでカピタン=「花美短」ともいう。蔓の巻き方についてフジのサイトに図鑑によっての記述の違いを抜粋して掲載している。
ヤマフジの園芸種に
シロカピタン[‘Alba’]=「シラフジ」「白花美短」「白ダルマフジ」。花が白色。
アケボノカピタン[‘Alborosea’]=花が淡い桃色。
●ムラサキカピタン[‘MUrasaki Kapitan’=花が紫色。


出典・参考文献
●『日本の野生植物 木本1 裸子植物』 平凡社
●『園芸植物大事典 4 小学館』
●『原色園芸植物大図鑑』 北隆館
●『神奈川県植物誌 2001』 神奈川県立生命の星・地球博物館




☆花の詩メモ☆

このあたりでは山で結構目にする。我が家のすぐ近くに農業用ため池があり、その背景には山があるが、ヤマフジやフジがあちこちに咲く。
道路が高い位置にあり、水面に映る景色は結構奇麗である。以前は蔓の巻き方でヤマフジとフジは異なるという事も知らず、気にもかけた
事もなかったが、最近私の住むこの町内のはずれの林にもまだ背丈の低いヤマフジがあり、初めて傍で観察出来た。旗弁の斑紋がフジと
は異なるようである。周年通して観察できるシ果実の様子も観察したいと思っていた矢先、持ち主さんが綺麗に伐採(?)された。


*画像転載禁止*



ヤマフジ=05・4・20撮影







(2段)フジに比べて花序が短い。
ヤマフジ=05・4・20撮影

(3段)旗弁の基部に黄緑色の斑紋がない。乳白色の斑紋のみ。
旗弁の基部がヤマフジも同じ様に爪状に飛び出ている。

ヤマフジ=05・4・20撮影

(4段左)3センチ程度の蕾の様子。フジのように蕾は長くない。
(4段右)開花し始めている蕾。

ヤマフジ=05・4・20撮影

(5段)蕾の苞には茶褐色の短毛がある。フジは白い短毛。
ヤマフジ=05・4・19撮影

(6段)花序全体がほぼ同時に開花し始めている。
ヤマフジ=05・4・19撮影




(7段)7月初旬。10センチほどの豆果ができていたが
鈴なりになることはないようだ。1本の花序に1個程度有るかないか。
莢は有毛。種子の観察をする前に、伐採されてしまった。

ヤマフジ=05・7・5撮影




(8段)幹の様子。右高に巻き付いているのがわかる。
ヤマフジ=05・4・20撮影




(9段)生葉。奇数羽状複葉。表面は白っぽく見える。
中軸には溝があるようだ。小葉には短い柄がある。小葉の先端は尖頭で
基部は卵形、葉縁は全縁、フジと違い波うっていない

ヤマフジ=05・7・5撮影
種別(や)  科別(ま) FLORA  HOME Last update 09・1・12 広島県



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